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PR:3つの試練? そして……

リングタウンで待機中、俺は「森で迷子になった老人の保護」というミッションを受けた。
この老人というのがくせ者で……
とにかく態度がでかく、人にもポケモンにもすぐに噛み付く。
老人の名はラゴウ……正直、今後僅かでも関わりたくない男だったよ。
だがそうも言っていられそうにない……俺の直感が、そう告げている。
これと言った証拠などがあるわけでもないが、
あのご老体、ゴーゴー団と関わりがあると睨んでいる。
それもあの態度から、かなりの重席ではないかと……
嫌でもあの不快な老いぼれと、今後も関わっていきそうだ。
そんな事を考え不機嫌になっていた俺に、直ぐさま連絡が入った。
サマランドのカムリが、先日のお礼を渡したいから来てくれとのことだった。
ミッションを終えレンジャークラスが7になった俺は
カイリューバスの利用許可を得て、サマランドへ。
ラプラスに乗ってくるのも風情があって良いが、
カイリューバスはとにかく早い。あっと言う間にサマランドにたどり着いた。
まあ……快適とは言い難いのがちょっと問題だけど
「あらら、大丈夫? 飛ばしすぎた?」
いや問題ない。ありがとなカイリュー
「うん。ボクはこっちのレンジャーベースで待機してるから、帰る時に声を掛けてね」
了解。受け取ってすぐ戻るつもりだから……
「ゆっくりしていかないの? ご主人様」
あの森でゴーゴー団の下っ端を見かけたことがやはり気になるからな
それとも……ヒナタとこっちに来ているプラスルが気になるか? マイナン
「別にそういうわけじゃないけど……」
ハハ、まあヒナタだってミッションでこっちに来てるんだ。どのみちゆっくり出来ないだろう
まあいい、とにかくベースに行こう。お、誰かいるな
「やあタカマル。元気にキャプチャしてるかい?」
よおポンプ。そっちも元気そうだな
「リーダーに呼ばれてサマランドに来たんだよね? 今呼んでくるからここで待っててくれよ」
ああ、頼むよ……ってすぐ出て来たな。カムリだけでなくラスカもか。
「オー、タカマル! ウェルカムウェルカム! この前のお礼にあげたい物があるんだ! レンジャーベースに置いてあるから、早く中に入って!」
なんかわざわざ待っていたようだなあ。
元々陽気な人だが、今日もテンション高いな。先に行っちゃったよ。
反面……苦笑いを浮かべているのはラスカ。どういうこと?
「タカマル、可哀想に……リーダーはワケ判らない物をプレゼントたがるクセがあるの。悪気はないんだけど、それが逆に厄介なのよね」
なにそれ、とても不安なんだが……まあいい、とにかく中へ入ろう。
「……なんか、どでーんとヘンなのが置いてあるね?」
マイナンが言うように、「ヘンな物」としか形容しがたい物体が、ロビーに鎮座している。
鉄製なのは見て取れるが、くぼみの中には色々と聞きらしき物も見える。
なんというか、何かのコクピットだけ取り出したような? そんな物だな
もしかして……これが?
「どうだ! すごいだろう? サラフの海で拾ったのさ。これを君にあげるよ。プレゼントフォーユーだ!」
いやあの……ナニコレ?
「それは一体何かって? 横にいるメカニックが上手い説明をしてくれるよ!」
そこは人任せなのかよ……で、なんですかコレは?
「こいつは海の中を潜れる乗り物だね。かなり昔に作られた乗り物で、確か「モーグル号」っていう名前だったかな」
潜水艇なんだコレ……言われれば確かにそんな感じも……
「でもこんな状態じゃ誰が見たって単なるでっかいガラクタだな」
ですよねー
「もしもパーツさえあれば蘇らせることが出来るかも知れないけどね」
パーツがあれば……か。
無ければどっちにしてもガラクタなのに変わりはないか
「いや! いやいやいや! これはガラクタではない! このままでも充分素晴らしいアートじゃないか! 眺めてるだけでウットリ出来るぞ? ガラクタとか言わないでくれよ!」
残念ながら、俺にそんなアート感覚は無いんだけど……
うわぁ、ラスカが言っていた意味が判った。
これどうしたもんかな……カムリがえらくご機嫌なのが尚更困った状況に……
「あらタカマル! こっちに来てたんだ。どう? クラスアップは順調?」
俺が困り果てたところに、ヒナタがベースにやってきた。
やあヒナタ……まあ順調と言えば順調だけどさ
「そっか……あっ、カムリさん、質問良いですか」
空気を読まずに、ヒナタがカムリに話しかけた。
いや、これはもしかして空気を読んでのことか? まあどちらにしても助かったな
「パトロールしていたらジャングルの奥で見つけた大きな古い建物……あれは一体なんですか?」
遺跡……ああ、前にニョロトノ騒動の時に下っ端を追い詰めた、あそこの遺跡か。
「あれはジャングルの遺跡だ。遺跡には「4つの試練」と呼ばれている物があって、昔からレンジャーの腕試しの場所になっている」
へぇ……ってことはあの遺跡は奥へ入れたのか。
「ただ……その試練には古くから妙な言い伝えがあってね。4つの試練を全てクリアしてしまうと、災いが起こると言われているんだよ。若い頃にハヤテやジョウも腕試しをする為にあそこへ行ったことがある……」
腕試しねぇ……カムリもやったことがあるんですか?
「私? 私はそういう危ないことはしない主義なんでね。もし時間があるなら行ってみるのもいいかもしれないよ」
「ねえタカマル。腕試しにもってこいだし、ジャングルの遺跡に一度行ってみない?」
いや、そんな時間はないというか、戻って気になることを調べたいんだが名……
「そんなこと言わないで遺跡に行ってみようよ!」
いやだからな……ったく、ヒナタは強引なところがあるよなぁ
「そうだね。それはよぉく知ってるよ……」
プラスルが「諦めて」って顔で俺を見ている……ったく、しょうがねぇなぁ
「そうこなくっちゃ! 流石タカマル!」
流石も何も……はぁ、俺も甘いねぇ。
「女の子にはね……」
嫌味にしか聞こえないぞマイナン。まあ今は甘んじてその嫌味を受け入れるが……
「試練に挑戦するなら、遺跡の中に入る方法を教えてあげよう。ジャングルの奥にある高台に遺跡の入り口がある。前にタカマルがニョロトノを救ってくれた場所だよ。そこに不思議な形の石の彫刻があるから、そこのどこかに隠された秘密のスイッチを押せばいい。そうすれば地下へと続く階段が出てくる。気をつけて行ってくるんだよ」
「石の彫刻ですね? 了解です! それではジャングルの遺跡にしゅっぱーつ!」
試練に立ち向かうって緊迫感はないなぁ……
「一つ気をつけて欲しいのは、試練を4つともクリアしちゃいけないって事。3つクリアした時点で帰ってくること。それさえ守れば大丈夫だ」
なんかそれがさっきから妙に引っかかってるんだが……
そもそも、そんなに大変な試練にしては中へはアッサリ入れるってのもなんだかな
「確かにね。私はやってないからよく判らないけど、ハヤテやジョウが「腕試し」で乗り越えられるくらいの試練だから、その気になれば4つの試練は腕のあるレンジャーなら難しくなさそうなんだよね」
うーむ……なんか色々と気になるなぁ……
「もう、そんな事悩んでたって仕方ないでしょ? ホラ、早く行きましょうタカマル!」
ああ判ったよ……全く、困ったお嬢さんだ

「あっ、そういえば! その橋を渡ったところにカビゴンが寝ていたわよね?」
遺跡に行く道中、ヒナタが思い出したように言い出した。
「きっとまだあのままだと思うんだ。道をふさがれて困ってる人がいなければいいけど……」
まあ邪魔ではあるが……そもそもあの先に何があるんだ?
「さあ……私は知らないわ」
そうか。まあ生活道じゃないだろうし、問題ないんじゃないか?
「そうね。もし依頼があった場合は何とかしないといけないけど、今のところは大丈夫……!?」
ん?
「プラスル! マイナン! 何処行くの!?」
俺とヒナタが目を話している間に、二人が話題にしていたカビゴンに向かっていった。
そして二人は……カビゴンの腹によじ登り、上で跳ねて遊んでやがる
「ね、スゴイでしょ?」
「ホントだ、面白いね!」
そりゃ弾力あるだろうし、寝てるカビゴンはこの程度じゃ起きやしないだろうけど……
「なにしてるの!」
ヒナタが慌てて二人に駆け寄る
なにやってんだアイツらは……
「カビゴンが可哀想でしょ! 止めなさい!!!」
流石に跳ねるのを止めた二人だったが、まだカビゴンの上にいる。
「カビゴンから降りなさい!」
ヒナタがあんな剣幕で怒るのは始めて見たな。
まあそんなにヒナタのことを知っているわけではないけどさ。
イタズラ好きの二人も、流石にこの一喝で降りた。
「ダメじゃないのプラスル! それにマイナンまで一緒になって! いくらお腹がポヨンポヨンとなるからって、カビゴンは楽器でもなければトランポリンでもないのよ! イタズラもほどほどにしなさい! まったく!」
「はう……ゴメンナサイ」
「ゴメンナサイ……」
ここまで起こるとは思ってもなかったのか? 二人とも涙目だな
そんな二人の様子を見て、ヒナタが強く怒りすぎたと感じたのか、急速に覇気を失っていく。
「もしかしたら……プラスルとマイナン……そこの道を通れずに困ってる人がいるかも知れないってそう考えてあんな事を……?」
イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、この二人に限ってそれはない。無いと断言出来る。
そもそもイタズラが過ぎてフィオレ地方までコッソリ付いてきたような二人だぞ?
間違いなく、面白そうだからやってみただけだ。他に理由なんか無い。絶対だ。
「あなた達は応援ポケモン……私達のお仕事を手伝ってくれようとしたの?……だとしたら私、ちょっと言い過ぎたかも知れない。だけどそれでも……ちゃんとカビゴンのことも考えてあげないといけないの。プラスル……マイナン……その顔は……よく判ったっていう顔だよね?」
ここぞとばかりにウルウルした目をヒナタに向けよって……あーあ、ヒナタの奴騙されてるよ
なんつーか……ヒナタは良くも悪くも純粋で直情径行な性格だな。色んな事に。
まあ……単純とも言えるか。
嫌いじゃないが、振り回されている現状を考えるとなぁ
まあ俺が甘いだけか……
「よーしオッケー! じゃあいつか私とタカマルが本当の本当に困った時に……私達のことを助けて頂戴ね! 約束よ?」
「はーい!」
「もちろん!」
なに軽く約束してんだよ……いずれ、俺はレンジャーを止めて戻るんだぞ、判ってんのか?
「それじゃあみんな! 元気に遺跡を目指しましょう!」
ま、それをわざわざ今言うことではないが……
楽しそうなヒナタを、ちと心苦しいがなぁ
張り切るヒナタとそれに釣られ楽しそうな二人。
彼女らを後ろからゆっくり追いかけながら……遺跡にたどり着いた。
「カムリさんの言っていた石の彫刻ってコレのこと? これのどこかにスイッチがあるハズなんだけど」
石の彫刻と言うよりは、石版みたいだな。前に見た時もそう思ったが。
ヒナタは軽くあちこちを見渡して、すぐにスイッチとやらを見つけたようだ。
「少し出っ張ってるけどコレがスイッチかな? 迷わず押しちゃえ! ポチッ!」
地響きと共に、彫刻が開いていく。
なんだこれ……遺跡、なのか?
どういう構造で開くんだろう。なんというか、「遺跡」という言葉に似つかわしくない
「ああビックリした……どうする? 入り口みたいだけど入ってみる?」
ここまで引き返しても仕方ないだろう
「それもそうだね。それじゃ、行ってみよう!」
中は四角い螺旋の下り階段。そう深く潜ることなく、下にたどり着けた。
そこから更に入り口をくぐると……かなり広い地下道靴が広がっていた。
光源が見当たらないが、中は明るい。
石畳が敷き詰められていただろう地面はその石畳が剥がされていたが
入り口付近の床などにはシッカリと残されていた。
地底湖なのだろうか、大きな水たまりがあり、床の一部が水没している箇所もあるようだ。
「ジャングルの地下にこんな場所があったなんて!」
ヒナタが驚くのも無理はないな。俺も驚いている。
地下に潜ってしまえば地表の気候は影響しないのだろうが
頭上にはジャングルが広がっているとは想像出来ないほど、
ここは広くそして人の手がシッカリと加えられている。
さて……試練とやらはあそこかな。少し離れた場所に入り口らしき物が見える。
「行ってみましょう」
ヒナタに言われるまま、とりあえず入り口をくぐってみる。
「ひんやりとした空気が流れ出てくるけど、この奥に何があるのかしら?」
そこは小さな部屋になっていて、更に奥へ続く入り口と、下り階段がある。
入り口の両サイドには牙のような角のような、尖ったオブジェが立てられていた。
そして右側のオブジェには石碑が取り付けてある。
「この石碑……文字が刻まれてる。私読んでみるね。「<水の試練>水の竜達が生み出す暴れ水をかいくぐり、汝の道を切り開け。やがて持ち受けるのは、怒れる水の使い。その荒ぶる魂を汝の手で沈めし時、封印の石はかき消え水の試練は終わる」……って書いてあるよ。ちょっと謎めいているわね。タカマルも自分の目で読んでみる?」
小難しく書かれているが、要するに障害を避けて奥へ進めって事か。
そして最奥で最終試練が待っていると……そんなところだろう。
荒ぶる魂を沈める……か。ここがレンジャーの腕試しってことは、やはりキャプチャか?
……遺跡でキャプチャ?
キャプチャってのは昔からあったのか?
スタイラーはそんな昔の技術ではないと思うが……
ご老体とはいえシンバラ教授が遺跡級の人物なんて事はあり得ないし
昔にもスタイラーに似た何かがあったということなのだろうか?
そう考える方が自然か……俺が難しく考えすぎているだけだろうか?
「とりあえず行ってみない?」
そうだな。ここで色々考えていても始まらないか。
中へ入ってみると……細く長い通路が続いている。
その脇には地底湖……というか、人工的に溜められた湖か?
通路から少し離れた位置にあり、通路と湖の間は深い谷底になっている。
湖には何かいるな……いなければ試練にならないな。
試しに渡ってみようとすると……
「ご主人様!」
マイナンが叫ぶ。俺達に向けて、水の塊が飛んできたからだ。
狭い通路から落ちないよう、どうにかしてそれを避ける。
あれは……ギャラドスか。
なるほど、これが「水の竜達が生み出す暴れ水」か
「……ねえ、ギャラドス達にお願いして通れるようにして貰えないかな」
「あ、それいいかも」
いいかもじゃねぇよマイナン。プラスルも呑気なことを言ってるんじゃない。
それじゃ試練にならないししてくれんだろう。
まあ正直……慌てなければ避けられる程度のものだ。頼み込む以前に、どうにか出来る。
左右から発射される「暴れ水」を上手く回避するものの、
どうしても雨のように吹きかかる水までは避けきれず
奥の部屋にたどり着いた頃にはみんなずぶ濡れになっていた。
「タカマルったらびしょ濡れ! そういう私も風邪引いちゃいそうよ」
無事通り抜けられたとはいえ、ここまで濡らされると無事とは言い辛いな
それにしてみすぶ濡れのヒナタは……あーいかんいかん。こんなところで欲情してどうする
白い上着が透けてこう……とかもー、ちょっとヒナタは無防備すぎるな
「私だっていつでも無防備でいつでも濡らして待ってるのに」
なにを言い出し取るんだマイナン……そんな判りきったことを
「……そこまで淫乱じゃないもん」
そうか、それは残念
「いやだから……もう、ご主人様のバカ」
「なにコソコソ話してるの? 二人とも」
「アハハ……まあいつもああなんだよヒナタ」
「ふぅん、やっぱり仲良しなんだねあの二人」
……純粋な目を向けられてそう言われると立つ瀬無いな。
まあいい……気を取り直して、試練だな
この部屋で何かあると思うんだが……
目の前には石で出来た台座と、その上に青い水滴を模したようなオブジェが
あれが「封印の石」なのか?
周囲は水で囲まれている。というか、プールの中に足場があると言った方が良いのか。
とりあえず、あの石を調べるか……
「タカマル!」
俺が中央にある封印の石に近づいた時、突然左右から何かが飛び出した。
あれは……キングドラか?
二人のキングドラが、俺に向かってくる……これはキャプチャしろって事か?
ならばキャプチャするまで……マイナン!
「はーい!」
ここはマイナンの放電で痺れさせてからの方が得策だな。
二匹相手とは言え、そう難しい相手じゃない。難無く、キャプチャ成功。
すると、部屋にあった封印の石が……消えた!?
「キングドラをキャプチャしたら、封印の石が消えた! 一つ目の試練クリアだね!」
いやクリアは良いけどさ……消えた? 跡形もなく?
どうなってるんだこの遺跡……古代の神秘って事で片付けて良いのか?
まあ気にしたら負けなのか……ヒナタは気にしなさ過ぎだと思うんだが。
試練を終え、キャプチャしたキングドラはどこかへ行ってしまった
色々と聞きたいことはあったが……どうにも、答えてくれそうな雰囲気は無かったな。
「さあ戻りましょう!」
ん、まあひとまず戻るか。
来た道を戻り、元の広い場所へ。そこから次の試練を目指す。
中央の石橋を渡り向こう岸へ行く途中、中央付近の十字路に差し掛かった。
十字路とは言っても、南側、入り口方面は途中で崩れ落ちていて実質三方向。
そして北側の通路には、なにやら青い炎が左右に灯っている。
更にその奥には……
「あれは何かしら? 何かの石像のような……」
ヒナタが呟き、その石像まで歩み寄る。
「これはエンテイ……? エンテイの石像だわ! 新しい火山が出来る度に産まれてくると伝えられる伝説のポケモン。こんな堂々とした姿のポケモンを私は他に知らないわ」
エンテイか。ふむ……留守を任せたうちのエンテイは元気だろうか?
堂々とした姿か……確かにそうなんだが、こう、「俺の」エンテイはそれだけじゃないからなぁ
普段は堂々としているが、ちょっと撫でてやるだけで甘えたというか、
全てを俺に委ねてくれる、あの安らいだ笑顔が愛おしかったりするんだよな
まああんな顔を他の誰かに見せる事はないんだろうから、俺が抱く印象の方が特別なんだろうけど。
それはそれとして……良く出来てるなこの石像。
なんというか……本物のエンテイをそのまま石化したような?
ああなんかそう思ったら……いや、まさかな。
「でも……どうしてここにエンテイの石像があるのかしら? カムリさんは遺跡にこんな石像があることは言ってなかったわよね」
言わなかっただけで、あっても不思議じゃないかもなぁ。ここは遺跡だし。
「うーん……でもエンテイって火山に関連するポケモンでしょ? なんでジャングルのこんな遺跡に石像が?」
確かに……まあここで悩むより、後でカムリに聞いた方が良さそうだな
「そうだね」
……そういやゴーゴー団は伝説のポケモンを探していたな。
奴らが探していたのはこのエンテイか?
だとしたら……戻ったらハヤテに相談した方が良さそうだな。
色々疑問は残るが、次の試練へ向かった。
橋を渡り終えたところに入り口があったが、その前に二人の白衣を着た男達が建っている。
「あの人達何してるのかな? 漫才の練習しているわけでもなさそうだし」
何処をどう見れば漫才なんて発想が出てくるんだ……と言いたいところだが
どことなく間抜けな雰囲気を醸し出しているこの二人を見ていると
白衣を着ているものの研究員と言うよりは漫才コンビと言った方が似合いそうではある。
なんというか、白衣を着慣れていない感じが……
いぶかしげに近づいてみると、片方の男が声を掛けてきた。
「いや、申し訳ない。ここの中は我々がものすごく調査中で、今は入れないんだよ」
調査? なんの?
「なんの調査かって? それについてはそちらの研究員がお答えします」
「おいおい! 急に俺に振るなって! と、とにかく、ものすごーく調査してるから、今は入れないんですよ。しばらくすれば終わりますから、後で戻って来てくださいね。絶対に、ね!」
受け答えが漫才のようだ。
あからさまに怪しいが……まあ4つ全てをクリアするつもりはないんだから
ここを飛ばして別の2つをやれば良いだけの話だな。
まあそもそも……俺はここの試練をクリアすること自体、最初から乗り気ではないんだが
なんとなく……さっきの試練も俺がやっちまったが、
本来ならヒナタがやれば良いんじゃないのか?
「私はいいよ。なんていうか……タカマルのキャプチャ見てると凄く良いなって言うか、なんて言えばいいのかなぁ……うん、とにかくタカマルがやってよ。私はそれを見ている方が良いな」
なんだかなぁ……巻き込んどいてやらせるのか。まあいいけど、というか今更か。
とりあえず俺達は別の試練がある入り口へ向かった。
二人組がいたところより北に、また別の入り口があった。
中に入ると……水の試練と同じように小部屋になっていた。
そしてやはり、奥の入り口には左右にオブジェ、そして右側には石碑が付けられている。
「奥からごぉーーーって音が聞こえるけど……アレはもしかして風の音?」
ヒナタが言うように、奥から強い風の音が聞こえる。
「この石碑……何か文字が刻まれてる。読んでみるね。「<風の試練>四方からの強き風に、時に抗い時に委ね、汝の道を切り開け。やがて待ち受けるのは、怒れる風の化身。その荒ぶる魂を汝の手で沈めし時、封印の石はかき消え風の試練は終わる」……って書いてあるよ。何となく判った? タカマルも自分の目で読んでみるといいかも」
風の試練か。となると、この音はやはり風……強き風って奴だろうな。
まあ行けば判るか。俺達は先へ向かった。
予想通り、強い風が吹いている。
立ち止まっていると、そのまま流されそうだ。
が、どうにか逆らって進むことは出来そうだ。
道はくねくねと不規則に曲がった二つの道がある。
どちらがどう違うのか、ここからじゃ判らない。
とりあえず……右の道から行ってみよう。
飛ばされないよう気をつけながら、強風の中を突き進む。
どうやらこちらの道は……ハズレなのか?
ずいぶんと遠回りをさせられたような気がする。
だが慎重に進めばどうと言うことはなく……無事、奥の部屋にたどり着けた。
「さっきの強い風でセットが乱れちゃったわ。タカマルもなんだか涙目になってるし」
目を開けているのも辛いほど強い風だったからなぁ。
さて……ここも水の試練と同じように、石の土台と、今度は緑のオブジェが置かれている。
近づくと……やって来たのはフライゴン!
コイツが怒れる風の化身か。早速キャプチャするか。
にしてもフライゴンか……厄介だな。
風の化身ってことだが、フライゴンは地面/ドラゴンタイプ。
つまり、飛行しているがマイナンの放電が効かない。
ポケアシスト無しでキャプチャしなければならない。
フライゴンはつむじ風のような小さい竜巻状の風を起こし襲ってくる。
この技は何だ? フライゴンは浮遊しているが、あまり飛行タイプの技は使えなかったはず。
エアカッターにしては鋭さがないし……
ここを守護するフライゴンだから、特殊な技が使えるということか?
なんにしても、フライゴンが起こす風を避けながらキャプチャするだけだ。
隙を付いて素早く6回囲み……難無くキャプチャ成功!
「フライゴンをキャプチャしたら、封印の石が消えた! 2つ目の試練もクリアだね!」
やはり水の試練同様、封印の石が跡形もなく消え去り、
そしてキャプチャしたフライゴンは無言のまま去っていった。
「さあ戻りましょう!」
ヒナタに促されるまま入口まで戻る……なんかこう、腑に落ちないというか……
試練と言うほど苦行でもなく、難無く突破してきているが……いいのか?
まあハヤテ達も3つだけ済ませて戻って来たようだし
俺もそうすれば良いだけ……なんだが
なんだろう、この胸騒ぎは……この手の嫌な予感は残念ながら外れたことがない。
さっきの二人組も気になるし……
「どうしたの?」
いや……なんでもない。
「ヘンなの。ね、早く次に行きましょうよ!」
ああ……まあとにかく次で終わりにすればいい、それで良いはずだ……
次の試練に向かう途中、またエンテイの像がある通路の前を通ったが、
今度は緑色の炎が灯っていた。
どういった仕掛けなのかはともかく、試練とやらは機能しているらしい。
試練というか……封印?
なんとなく、そんなイメージが沸く。
試練を全てクリアすると、災いが起こる……というよりは
災いの「元」となる何かの封印を解くことになる……そういうことなのだろうか?
綺麗に並ぶ灯火、その先にあるのはエンテイの像……そういうことなのか?
しかしエンテイは災いを呼び起こすようなポケモンではない……と、思うんだが
そもそも、これが封印を解く行動なのだとして、
何故コレを「試練」と呼ぶんだ?
いや……深く考えても仕方ない。
とにかく次で最後にして、ここを出る。そうすれば良いだけのハズだ。そのハズだ……
「静かね……この静けさは、かえって気味が悪いわ……」
次の試練、その中もやはり、まずは小部屋とオブジェ。そして石碑がある。
そして例の如く、ヒナタが石碑を読み始めた。
「「<破壊の試練>天から舞い降りし者達の破壊の力を借りて、汝の道を切り開け。やがて待ち受けるのは、怒れる破壊の王。その荒ぶる魂を汝の手で沈めし時、封印の石はかき消え破壊の試練は終わる」……そう書いてあるわ。意味判った? タカマルも自分の目で読んでみたら?」
破壊の試練?
水、風と来たから、次は火とか土とか、四大元素で来るかと思ったら……破壊とはね。
今までと明らかに違うが……中もそうなのだろうか?
果たして……その通りだった。
今までにはなかった、妙な装置が左右にあり道をふさいでいる。
中央には大きいフットスイッチらしき物が。
石碑の通りだとすると……「天から舞い降りし者達」とやらの力を借りて、装置を壊せばいいのか?
これがレンジャーのための試練だとするなら、その者達ってのはポケモンだろうなぁ。
「だけど変ね……力を貸してくれそうなポケモンが何処にも見当たらない」
確かに……だが「天から舞い降りし」ってんだから、振ってくるのか?
あの床スイッチを踏めば……とりあえず前に出て、踏んでみた。
予測通り、天井からポケモン……タツベイとグライガーが振ってきた。
こいつらをキャプチャして、あの装置をこいつらでターゲットクリアすればいいんだな。
ある意味、レンジャーの基本通りってわけか。
早速振ってきた二人をキャプチャ。そして彼らの力を借りて装置を破壊。
これを繰り返して進んでいく。
今までの中では一番「レンジャーの試練」にふさわしい内容だが
これが「遺跡の試練」としては一番ふさわしくないというか
あまりにもオーバーテクノロジーが過ぎるというか……
俺は色々と深く考え過ぎなのだろうか?
とりあえず今はこの試練を突破することだけを考えるべきか。
最後の装置を破壊したところで、
ケムッソなどのターゲットクリアに使用していなかったポケモン達が勝手に離れていった
どうやら、奥で待ち構える「怒れる破壊の王」は自力でキャプチャしろっとことらしい。
気を引き締め奥へ進むと、今までと同じように石の台座と紫のオブジェ。
更に近づくと……地響きが!
「タカマル気をつけて! 何か来るわよ!」
現れたのは……ボーマンダか。
破壊の王か……キャプチャするには、確かに厄介な相手だな。
動きはゆっくりだが、時折放つ破壊光線が強力で厄介だ。
慎重に囲めば良いんだが、そうなると飛び立たれた時に厄介。
飛んでいる最中は歩いている時よりも速く、囲みづらい。
更にそこから着地されると、地震のような衝撃波が襲いかかりスタイラーがダメージを受けてしまう。
着陸している時だけ狙って素早く囲もうとしても、唐突に脚を上げ地震を放ってくることもある。
時に慎重に、時に素早く、何度も囲む必要がある相手だ。
コレまでの試練とは比べものにならないほど、ボーマンダは強敵だ。
腕試しという点においては、このボーマンダを相手にキャプチャ出来るかどうか
全てはこの一戦で試されている……そんな気がする。
スタイラーに神経を集中させる。既に酷くダメージを受け、もう耐え切れそうにない。
次に破壊光線なり地震なりを受ければ終わる。
慎重に囲んでいく。飛び立たれたら手早く、ラインを切られないよう一気に!
もう少し……だが、着陸する! すぐにスタイラーを戻し、ダメージを回避する……が、やり直し。
何度となく繰り返す。根気の勝負……
粘り勝ちを手にしたのは……俺だった。ふぅ、こんなに神経すり減らしたキャプチャは初めてだよ
「ボーマンダをキャプチャしたら、封印の石が消えた! これで3つの試練全部クリアね!」
3つか……正直この破壊の試練だけが本番だったって気がするよ。
「タカマル頑張ったもんね!」
まあな……こんなキャプチャ見てて、参考になったか?
「うん! タカマル格好良かったよ!」
ああ、そう言って貰えるのは嬉しいが……参考になったかどうかの答えにはなってないな
まあいい……さあこれで3つ突破したし、遺跡を出よう。
「折角だからもう一つの試練も覗いてみない? もちろん、ちょっと見てみるだけよ」
好奇心は猫をも殺すって言葉、知ってるか?
「なにそれ?」
好奇心に突き動かされて動くと、ろくな事に成らないって事だ。
「でも、折角だし……ね。見ていくだけだからさ。それに……」
何か気になることでも?
「うん……ほら、あの研究員」
ああ、入り口にいたあの二人組か
「どーしてもさ、研究員って感じ、しなかったのよね」
そうか、ヒナタも気付いてたか……
「なんだろう、なんか気になるのよね……だからお願い、ちょっと見ていくだけだからさ!」
そう言われると……断りづらいな
「なら決まりだね」
まあ様子を見に行くだけ……で止まれば良いんだがな
ずっと引きずったままの不安をそのままに、
研究員を名乗る奴らがいた試練の入り口まで来てみたが……いないな。
「さっきの二人がいないって事は、調査が終わったのかな?」
あるいは調査という名目で……とにかく中を見てみよう。
中は他の試練と同じように小部屋だった。直……
「見てタカマル。石碑が壊されてる!」
明らかに人の手で壊された形跡がある。
「石碑が壊されていて文章が読み取れない……4つめの試練をクリアしないように誰かが念のために壊したのかもしれないね」
それだったらいいんだが、
下にその破片らしき物が散らばっているところを見ると……壊されたのはつい最近と見て良いだろう。
「それって……」
つまり、あの研究員の仲間がここで何かをしていた……と考えるのが自然だろう。
とりあえず、その石碑に何が書かれていたかだな。ええっと……
『<炎の……>紅蓮の炎……飛び去りし……おい……し、汝の道……開け……て待ち受ける……炎……龍。その……ぶる……いを…………沈め……き、封印……はかき消え、……のおの……んは……る』
これだけじゃなんのことか判らないが、
以前までの試練にあった石碑の文面に似ていることから、推測するに……
『<炎の試練>紅蓮の炎……飛び去りし……おい……し、汝の道を切り開け。やがて待ち受けるのは、炎の龍。その荒ぶる魂を汝の手で沈めし時、封印の石はかき消え炎の試練は終わる』
序盤は判らないが、後半は多分コレであっているだろう。
試練の内容もおそらくこれまでと同じ……つまり、ここの門番的ポケモンをキャプチャすること。
文面から察するに、そのポケモンは「炎の龍」とされているポケモンか
あの研究員達は中で何をしたんだ?
まだ何も起きていないところを見ると、試練を突破した様子はないが……確かめるしかなさそうだな
チクショウ……嫌な予感が直接心臓を鷲掴みしてる見たいに、なんかズキズキするぞ……
痛む左胸を押さえながら、奥へ……周囲を溶岩に囲まれた広い場所へ出た。
通路には何かが噴き出しそうな穴がいくつも見られるが、近づいても特に作動する様子はない。
気になりながらも更に奥へと向かうと……
「ポケモン・ア・ゴーゴー!! 待ってたぜお二人さん!」
くそっ、やはりこういうことか……ゴーゴー団の四人組が待ち構えていやがった。
そして奴らの後ろには……リザードンがいる。
「急いでいたって、立ち止まれ!」
「耳を揃えて、これを聞け!」
「怒りのリズム、土深く!」
「野望のメロディ、天高く!」
「知らなきゃ話して聞かせてやろう! ヤライ! ユウキ! ヨウジ! ミライ! ゴーゴー団の一押しバンドはいいとこ取りのセレブリティ! 誰が呼んだかその名前……我ら、ゴーゴー4兄弟!!」
ああうざい……こういった前口上はヒーロー側がやるもんだぜ?
もっとも俺がその「ヒーロー側」だなんて言うつもりはないが
「久しぶりだなあんた! 炎の試練にようこそ。君達は確かポケモンを愛するユニオンのレンジャーだったかな? 見ての通りリザードンが酷く苦しがっている。キャプチャしてなだめてあげなくて良いのかな?」
リーダー格の……ヤライだったか。奴がニヤニヤと挑発的な顔で言い放つ。
奴が言う通り、奴らの後ろにいるリザードンはかなり苦しそうだ。
完全に理性を失っている……これは奴らに何かされたと見て良いだろう。
奴らがキャプチャしようとした? だとしたらこの状況は一体……
「ねえタカマル……この4人ってゴーゴー団の幹部か何かなの?」
ああそうだ。ここでニョロトノの騒動があった時に現れ、
クロッカトンネルで落石除去をしている時にはあそこの女のバクーダをキャプチャしたな
「ミライ! 名前くらい覚えなさいよね」
はっ、女とはいえザコい奴の名前なんかいちいち覚えていられるか
「ザコいってあんた……ほんっとに失礼な奴ね!」
などと女が叫んだからか……
「あっ! リザードンが!」
もがきながらリザードンは飛び立ち、俺達の後方へと行ってしまった。
「リザードン凄く苦しそう!」
あんなになるまで……テメェら、リザードンに何をした!
「ほら、リザードンがあんなに苦しがっている。キャプチャしてなだめてやってはどうだ?」
質問には答えず、ヤライがキャプチャを勧めてくる。
「そう、苦しんでいようと私達には関係ないことですからね。あなた達が手を差し伸べてあげたらいいでしょう」
別の男までがキャプチャを……これは考えるまでもなく、俺達に試練をクリアさせる気だな?
ここで試練をクリアしてしまえば……だからといって、あんなリザードンを放っておけるか?
ええい! 大事のために小事を切り捨てるってのは俺の性に合わん!
奴らの企みに乗っかってしまうのは忌々しいが、リザードンをキャプチャする!
その後のことは……その後だ!
とにかくリザードンを追った。今まで反応の無かった穴からは炎が噴き出してきた。
それをかいくぐりながらリザードンを追いかける。
どうにかキャプチャ出来る範囲にまで接近し……キャプチャオン!
リザードンは空に向かい炎を吹き上げ、その炎が地面にばらまかれる
噴火……ともまた違う技だな。というか、こんな技は見たことがないな。
苦しんでいるリザードンが無意識に起こしている技……とでも言うのだろうか?
特にこちらを直接攻撃するような技ではないが、散らばった炎が邪魔でリザードンを囲うのが難しい。
そしてリザードンが炎を吹き上げる度に、キャプチャ途中の状況が全てリセットされてしまう。
つまり、キャプチャするなら炎を噴き出して次の炎を噴き出すまでの間に行わなければならない。
手早く性格に囲む必要がある……これはボーマンダの時とはまた異質の難作業だ。
早くリザードンを苦しみから解放してやりたいが……焦りは禁物。じっくりチャンスを待つしかない。
リザードンはゆっくりと歩くが、とにかく散らばった炎が邪魔で囲むタイミングがなかなか取れない
少ないチャンスを狙いつつ、炎に触れないようラインを引いて……よし、キャプチャ成功!
リザードンはどうにか正気を取り戻せたようだ……
ジッとこちらを見つめ、そして飛び立ってしまった。
リザードンを救うことは出来たが、しかしこれで……
「お見事! 流石ユニオンのレンジャーだ」
いつの間にか近くにまで来ていたヤライが、空々しく俺を褒め称える。
「俺もリザードンのキャプチャを試みたのだが、我々のスタイラーはまだ試作品の段階でな、完全にリザードンをキャプチャ出来なかったのさ」
はっ、それはスタイラーの性能じゃなくてお前らの腕が悪いんだろう?
「いやいや、残念だけどスタイラーのせいさ。更に悪いことに、我々のスタイラーのせいでリザードンをちょっとばかり傷つけてしまうというちっちゃなアクシデントなどもありましてね」
「そんな中、フラフラと!人の良さそーな顔してやって来たのがお前達ってワケだ。礼を言っとくよ、おかげで4つめの試練がクリア出来たんだからな!」
残りの男どもが、バカにしたような口調でベラベラとこれまでの状況を語る
「な、なんのこと? リザードンはキャプチャしたけど、試練なんてクリアしてないけど?」
狼狽しているヒナタが、唇をふるわせながら否定する。
彼女だって、この状況は理解しているだろうが……
「物わかりの悪い人達ね。リザードンをキャプチャすることこそが……4つめの試練だったのよ!」
ミライが勝ち誇ったように言い放つ。言われなくとも、そんな事くらいな……
クソッ! 判っていながらコイツらの企みに荷担する形になってしまった……
優越感に浸っている四人組は、そのまま立ち去る……が、ヤライだけが振り返り、口を開いた。
「この遺跡には、言い伝えがある。4つの試練を全てクリアすると、フィオレ地方に恐ろしい災いが起きるというものだ。そして我々ゴーゴー団はその災いを強く望んでいた……そんなときタイミング良く部下から知らせが入った。どこかの間抜けなレンジャーが試練を受けるために遺跡を目指しているらしいと。俺はすぐに閃いた! そいつらに4つ目の試練もクリアしていただいて、災いを招いて貰おうと! 君達は少しばかり手間取っていたようだが、まあ良しとしよう。それよりも今頃……エンテイの石像が大変なことになってるんじゃないのかな? はっはっはっ!」
高笑いが耳に、心に、痛い……去ろうとするヤライを追いかける気力を無くすくらいに。
災いを強く望んでいた?
奴らはフィオレ地方を混乱させるのが目的なのか?
いやそれよりは多分……
「悔しい……私達騙されたみたい……だけど……災いって一体どんなことが起きるの!? エンテイの石像がどうなるって言うの!? とりあえずエンテイの石像を確かめに行こうよ!」
そう、エンテイだ。奴らの目的は「伝説のポケモン」だ。
一体何が起ころうとしているんだ?
俺達は急いでエンテイの石像があった場所まで駆けつけた。
通路には最後の、赤い灯火が灯されている。だが……それだけ?
石像に異変は……ない?
「試練を4つクリアしたら、何が起こるっていうのよ? 確かに祭壇に灯は灯ったけど……災いどころかとっても綺麗じゃない?」
ヒナタが言う通り、今のところそれだけで特に何も……と思った矢先だった。
地震が起きた。かなり大きい。
揺れながら俺の視界に映し出されていたエンテイの石像が、試練の石のように……消えた。
「……え? エンテイの石像が消えたけど? それがなんなの? 今のが恐ろしい災い?」
この地震が恐ろしい災い……だと?
「どうやら私達、あいつらにからかわれたのね。ドキドキして損しちゃった」
そんなはずはない。コレは単なるプレリュードに過ぎない……そう思いたくはないが。
「タカマル、そろそろ帰らない? 腕試しも終わったし、多分もう何も起こらないよ」
ヒナタのように楽観視出来ればいいが……
いや、ヒナタだって内心判っているはずだ。青ざめた唇がそれを物語っている。
いずれにせよ、今は特に何かが起こる気配がない。
不安を振り払うように、ヒナタが駆け足で出口へと向かっていく。
俺もその後を追う……このまま何事もなければと祈りながら……
だが、祈りが通じるはずもない。
遺跡の外へ出た途端、また大きな地震が……
「この揺れは、ただ事じゃないわ! それに遺跡の地下からものすごい音が聞こえてくる!」
遺跡の中からとてつもない音……地割れ、落石、諸々……
そんな破滅的な状況をイメージさせるに充分な轟音が響いてくる。
「何が起こったのか、調べに戻りましょう!」
ヒナタが遺跡へ振り向くと同時に、スタイラーにメールが
『カムリからタカマルへ。地震だ! 揺れている! どうやら震源地はジャングルの遺跡らしい! 君達のことだ、無事でいるに違いないだろう。無事……だよな? 二人に頼みがある。余震に注意して被害や原因などの調査を進めて欲しい。フォルシティからサマランドに来ている。アリアもそちらに向かっているはずだ……みんなあくまでも自分達の安全を第一に考えるように!……まだ揺れているな?』
アリアが? これは……個人的な感情は抜きにすれば、ありがたい助力となるか。
ともかく、これは俺が引き起こしてしまった「災い」に間違いない。
なら俺の手で、この災いを調べ止めなければ……
地震と遺跡内の異変。そして消えたエンテイの石像。
何がどう繋がっているのか全く見えてこないが、このままゴーゴー団の思うままにさせてたまるか。
「ご主人様……」
大丈夫だマイナン。俺達で、食い止めるぞ。
「そうよ、私達で……行きましょうタカマル!」
ああ……俺達は再び、遺跡の中へと足を踏み入れていく。

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PR:ミッション6・迷子の老人

クロッカトンネルでの事件から二日
レンジャークラス「6」に認定された俺はリングタウンをパトロールしながら待機を続けていた。
まあパトロールついでに、キャプチャチャレンジで腕を磨いたり
こっそりと人気のないところでマイナンを青姦したり……
いやだってさ、レンジャーベース内でマイナンを調教するのも限界があるしなぁ
多少危険だが、ベース内でやるよりは……な?
「それに、ヒナタの目も気にるんじゃない?」
まあ否定はしないが……こっちへ戻ってからなにかと近づいてくるからなぁヒナタは。
どうやら「異国のポケモントレーナー」という存在に興味を持っているらしく
プラスルから聞いた俺の「武勇伝」を熱心に聞き入っていたらしい。
まあ流石に俺の女性遍歴まで口を滑らせるようなヘマはいくらアイツでもしていないようだし
ハヤテとの約束もあるから俺の「組織潰し」の話もしていないようで
純粋に、俺というポケモントレーナーという存在をプラスルが知る限りで話していたようだ。
まあそんな話でもヒナタには刺激的だったようで、色々と俺に直接尋ねてくる。
それはそれでいいんだが……なんというか、真っ直ぐな「好意」を俺が持て余しているって感じだ
「普段だったら襲っちゃえばいいのに、出来ないしねぇ」
……言い返してやりたいが、図星なだけになんも言えん。
なんつーか、俺の「女生徒の付き合い方」が変態すぎて、まともな対処が出来ない……って、俺は相当に酷いな
そうやって色々と貯まっているモンモンとした気持ちも含め、どうしてもマイナンの調教は欠かせない状況になっている。
勝手に付いてきた二人を叱った立場ではあるが、マイナンがいなかったら……色々やばかったな俺
人として、俺はまともに生きられないのがよく判った……
「ご主人様にとって私達奴隷は必要不可欠。もちろん私達もご主人様あっての奴隷。持ちつ持たれつ、でいいじゃない」
だとしても人としてなぁ……
「そんなの、本気で気にしてないクセに」
いちいち生意気なことを言うなぁお前は……俺の弱みを握ったつもりか?
「まさか。ただね、なんかこう……嬉しいだけ。えへ」
ったく……まあいい。確かに、本気で問題にしていないところもあるのは事実か。
問題は……やはりゴーゴー団か。
クロッカトンネルで「伝説のポケモン」を探していた奴ら。
四兄弟の一人ミライと接触し、トンネルからの排除と同時に情報を得ることも出来た。
奴らが伝説のポケモンを躍起になって探していること。
奴らが「テンション」や「ノリ」といった感情でポケモンを操るスタイラーを持っていること
そのスタイラーがスーパースタイラーを改造して作られ、量産されていること
ただこれらの情報は得ても、ゴーゴー団の足取りは未だに掴めぬまま。
従って俺もヘタに動くことが出来ず、こうしてパトロールで時間を潰しているのが現状。
ハヤテも言っていたが、何時ゴーゴー団が動き出すか判らない以上、町から出て行けないんだよ
まあその変わり、住人達から色々と「現状」を聞き出すことも出来たが。
どうやらゴーゴー団の下っ端達は、ポケモンによるトラブルを解決する代わりに高額な依頼料を請求したり
ポケモンをけしかけ直接住人を脅したり変な物を売りつけたりと、
かなり悪質なヤクザまがいのことをしているようだ
それでいてレンジャーよりもポケモンの扱いが上手く、自分達がレンジャーに取って代わる存在だと公言するか……
どうしようもないアホな連中だが、同時にとてつもなく悪質。
どうにかしなければならないんだが……動けない状況にイライラするしかないとはな
「イライラ解消の為にも……やっとく?」
だんだん露骨になってきたなお前は……して欲しいのは判るが、そう頻繁にやってられないだろ。
そう町中で何度もやってたらいずれ見つかるぞ
むしろもう見つかってる可能性だってあるんだからな。
とりあえず……一通りパトロールも終わった。レンジャーベースに戻ろうか
「チェ、仕方ないか……あ、ヒナタが出て来た」
「ちょうど良かった。今リーダーがタカマルのこと探してたわよ!」
ハヤテが? いよいよゴーゴー団の足取りが掴めたか?
「んー、そうじゃないみたいだけど……タカマルに頼みたいことがあるみたい」
そうか……
「私はこれからリーダーの命令でサマランドへ向かうの。向こうで会うことになったら一緒に行動しようね!」
ああ、気をつけてな。プラスルも
「うん、それじゃ行ってきます!」
「またねーマイナン」
……行ったか。あいつらはいつでも元気だなぁ。プラスルもさ
「なんかさぁ、プラスル……ずっとニコニコしてるのよねぇ」
良い事じゃないか……お前がヤキモチを焼く以外は
「別にそんなこと……ご主人様がとっととヒナタを奴隷にしちゃえばいいのに!」
なんじゃそりゃ
「そうすれば、プラスルもヒナタもまとめてやれるじゃない。なんかさ、アイツが私の知らないところで楽しそうにしてるのムカツクの!」
なんつー嫉妬だ。まあお前ららしいけど
さてそれよりハヤテだ。なんだろう……ミッションか?
「おおタカマル、帰ってきたか! 君に頼みたいミッションがあるんだ」
やはりミッションなのか……その様子だと、ゴーゴー団絡みじゃなさそうだが。
「残念ながらね。ライラの森の奥深くで、おじいさんが一人迷子になっているらしい。その老人を捜し出し安全な場所までお連れすること……これが次のミッションだ!」
ミッションは構わないが……俺が町を離れて問題ないか?
「人手が足りなくてね。本来ならヒナタに任せたいところだが、彼女にはサマランドでの調査に協力して欲しいと要請が来たばかりで」
みたいだったな。まあ仕方ないか……ライラの森ならそう遠くないし
「では頼むぞタカマル。たぶん、このミッションはキミでないと難しいだろうから……」
ん?
「いや、気にしないでくれ。ただなんというか……まあ会えば判るだろう」
またそのパターンか……了解。色々と気になるが仕方ないな。行くぞマイナン
「はーい……ついでに、森でやってく?」
お前はソレしか脳にないのか……

森に入ると、既に出発していたはずのヒナタが待っていた。
どうしたヒナタ。サマランドへ行くんじゃなかったのか?
「そうなんだけど、まだちょっと時間あるし、途中まで一緒に行こう。ほら、久しぶりでしょ? 一緒に行動するの。タカマルの目的地はライラの森の奥だよね? 付き合ってあげる」
あ、ああ……まあ構わないけど……
参ったな、こう積極的に迫られると……どう対処して良いのか迷う。
女性を「エロ抜き」で接しなければならないのがこんなにも難しいとは……
いかに普段から女性をエロい事でしか見ていなかったのかってのが判るな
どんだけ煩悩まみれなんだよ俺の脳は。マイナンのことを言えた義理じゃないぞ
「こうやって一緒に歩くの久しぶりだね!」
ああ、そうだな……
「タカマルは置いてきたポケモン達と離ればなれで寂しくない?」
まあ寂しくない……ってこともないが、まあ今生の別れというわけでもないからな。
こちらでの「レンジャー修行」が終われば帰るわけだし
「あっ……そっか。タカマル、いつか帰っちゃうんだよね」
まあ、その予定だな
「レンジャーって、なんか家族みたいなものかもって思ってたから……リーダーがいて教授がいて私やイマチさんがいて……タカマルがいて。だからタカマルが帰っちゃうって、全然想像もしてなかった」
家族か……俺には待ってるアイツらがいるから、レンジャーベースの君達に対してそういう感情は持てなかったな
「そう……だよね」
……悪いな。だがハヤテ達には好感を持っているつもりだし、それに……家族じゃ、恋人にはなれないだろう?
「えっ!?」
いや、なんでもない……忘れてくれ
「あ、うん……」
……しまった、ついうっかり「口説きモード」を発動させていた……いかんいかん。
くう、振り返らなくても後ろ二人から送られる「またやってる」って視線を感じられるぞ……
まずいな、どう会話を切り替えていこうか……ん? なんだろう、ずいぶんと身なりの良い男性が近づいてくるな
「レンジャーさん、ちょっと尋ねたいんだが、このあたりで2人のプリンを連れた女の子を見なかったかい?」
女の子?
「私の娘なんだが……いやなに、迷子と言うほどではないんだ」
「2人のプリンを連れた女の子……ですか? リングタウンからここまではみかけませんでしたけど」
「いやいいんだいいんだ。待ち合わせの時間にはまだなってないしね。もし娘を見かけたら、パパがここにいるとだけ伝えてくれないか?」
「判りました。この後森の奥に向かうので、きっとすぐに出会うでしょう。もしご心配でしたら私達からレンジャーベースに……」
「いやいやいや、そこまでは。たぶんプリン達とかくれんぼでもしてるんだろう。心配してくれてありがとう」
……父親はああ言うが、ちょっと心配だな
「そうね……」
俺のミッションが迷子の老人を案内するってのだから、なんか尚更嫌な予感しかしないんだがなぁ
「確かに……タカマル、森の奥へはこっちの道よ。ライラの森って奥の方は「迷いの森」と呼ばれるくらい迷子になりやすい場所なの。普段はレンジャーがこのあたりにいて、その事を注意してあげてるんだけど、今はゴーゴー団のミッションに人が足りなくて、ここが無人になってるの。おじいさん、そうとは知らずにこっちの道が正しいと思っちゃったのね、きっと」
そして女の子も……って可能性もあり得るなこうなると
「ええ……あら? アソコにいるの……」
ん? あれは……プリンじゃないか!?
「プリンが森の奥に!? 行ってみましょう!」
そうだな……導かれるようにプリンの後を追いかけると、そこには予想通り女の子がいた。
「女の子が泣いてる……」
無事で良かったが、喜んでもいられない様子だな
「お嬢ちゃん、どうしたの?」
「うぇーん……あたしのプリン、森の奥に逃げちゃった。2人いたけど1人になっちゃったの。パパいないし森の奥怖いから、くすん……」
それで立ち往生か。この子がそのまま追いかけないでいてくれて良かったな
とはいえプリンの方が迷子ではなぁ……
「大丈夫大丈夫。パパは向こうの方で待ってるから、プリンのことは、えーっとそうねぇ……お願い、タカマル。私はここでこの子のことを見てるから、逃げたプリンを探してきて」
まあそれが最善の選択か。ヒナタ、その子の事は頼むぞ
「ええ。ほら、もう泣かないっ。このお兄ちゃんがプリンを連れてきてくれるから。それまでお姉ちゃんとここで遊んでましょ」
「うん、判った。もう泣かない……くすん」
よし、えらいぞ。それじゃあちょっと待っててな……
この奥か、すぐに見つけられると良いんだが……
「あ、あのプリンじゃない? ご主人様」
お、思ったより早く見つけられたな。
だが迷子になってパニクってるのか……一度キャプチャして落ち着かせた方が良さそうだな
……よし、OK
「あっ……レンジャーさん」
女の子の連れだっていうプリンはキミで間違いないかい?
「あ、はい! ゴメンナサイ……変なおじいさんに驚いてしまって……」
変なおじいさん?
「はい……私達が遊んでいるところへブツブツ言いながら近づいてきて……突然「邪魔だどけ!」と怒鳴られ……いきなりあんな事言われるとも思わず、ビックリしてしまって……」
そうか、まあなんにしても戻ろう。女の子が待ってる
「はい、ありがとうございます」
無事見つけられて良かったが……変なおじいさんねぇ
迷子の老人について言いよどんだハヤテの態度も気になるし……そいつが変なおじいさんで間違いなさそうだなぁ
……ただいま、お嬢ちゃん。
「プリンだ、プリンだ、プリンだ、プリンだー! お兄ちゃん、どうもありがとう!」
どういたしました。
「プリン達と一緒にパパの所に帰りましょ? お姉ちゃんが送ってってあげるから」
「うん、判った。パパのとこ帰るよ……ねえお姉ちゃん、あっちの方に行った迷子のおじいちゃん、おうち帰れるかな? さっきブツブツ喋ってるおじいさん来たの。そしたらプリンに「じゃまだ、どけ!」って……だからプリン、森の奥に逃げちゃったの。そしたらおじいちゃん、「ふはははは」って笑ったの。あの迷子のおじいちゃん大嫌ーい!」
プリンの話と同じだな……
「この子の話の迷子のおじいちゃんって、タカマルが探してるおじいさんの事よ! どんどん森の奥に迷い込んじゃう前に、急いだ方が良いと思う。私も手伝いたいけど、この子を送り届けてからサマランドに向かわなきゃ。お互いにミッション頑張ろうね!」
ああ、お前も気をつけてな
「お兄ちゃん、バイバイ!」
バイバイ……さてと、今度はいやぁな爺さんとやらを探しに行くか
「気が乗らないねぇ」
まあそうも言ってられないだろう……ん、なんだこれ
「祠かな? なんか書いてあるね」
どれどれ……ライラの祠。この森に住む精霊と命達に感謝の祈りを……か
ん? メールだな……ハヤテからだ
『ハヤテからタカマルへ。たった今おじいさんに関する追加情報が寄せられた。どうやら森の中でウツドンに追い回されて道に迷ってしまったらしい。ライラの森のウツドンは侵入者を見かけると森の外へ吐き出そうとする。タカマルも気をつけてくれ。それではこの情報を参考に引き続きミッションを進めてくれ。健闘を祈る』
ウツドンか……丸呑みにして吐き出すのか?
そいつあ……♀なら歓迎だが♂ならイヤだなぁ
「ウツボット先輩の「飲み込む」はすっごい気持ちいいモンね!」
リーフが徹底的に鍛えた技だからなぁあれは……まあ普通の人は♀でもいやなんだろうが
お、情報通りウツドンがうようよしてるな
刺激しないように通り過ぎよう……
「キャプチャして何人か手伝って貰わないの?」
ああ、それも手だな。避けるよりは積極的にキャプチャしてしまうのも。老人の行方も聞きたいし……
ウツドンを回避したりキャプチャしたりしながら、森の奥へと進む俺達。
そして彼らから聞いた話では、やはり老人がこの先へと悪態をつきながら逃げていったらしい。
追いかけるウツドンを嫌っていると言うよりも、
ポケモンそのものを嫌っているように見えた……とは、ついでにキャプチャしたオオスバメの話。
ますます厄介な相手のようだなぁ……ん、この先は崖だな
飛び降りられる距離だが、よじ登るのは難しそうだ。
この崖を飛び降りたのか? それとも落ちたのか?
さっきの女の子の証言やキャプチャしたポケモン達の話だと
独り言を呟きながら歩いているだけだったっぽいから、気付かずにここから落ちた可能性は高いな
怪我してたら厄介だなぁ……
「なんか、心配しているって感じの言い方じゃないですねご主人様」
そりゃなぁ。話聞く限り面倒な老人っぽいし
その上で怪我されてちゃな……レンジャーらしからぬ発言なんだろうけど、これ
まあいい、降りて行ってみよう……
「あ、ビンゴ。あの人じゃない?」
らしいな……なんかブツブツ言ってるから間違いないな。
「ブツブツ……こんなとこまで来たのに、伝説のポケモンがブツブツ……ブツブツ……それもこれも、全部シンバラの奴がブツブツ……ブツブツ……今に見てろ、ブツブツ、ブツブツ……」
ん? よく聞き取れないが……なんか不穏な事言ってそうだなぁ
まあいい……レンジャーユニオンへ救助を依頼された方ですか?
「おおっと、ビックリした! スッと後ろに立たれたら驚くじゃないか!」
……失礼しました。私はリングタウンのレンジャー、タカマル。救助の為参りました。
「……ふむ。なるほど、君がリングタウンのレンジャーだな? それにしても、ここに来るまでずいぶん時間が掛かったな。ユニオンのレンジャーなら、まあそんなものなのだろうか」
……ああクソ、殴りてぇコイツ。なんだこの態度? 救助を依頼し解いてこれは……まあここは我慢だな、我慢
「しかし、よくよく見てみれば……新人! ユニオンのレンジャーが新人を寄こしやがったか。これは傑作だ!」
……ああ、女の子が言っていた通りの、下品な笑い方だ……
失礼ですが、新人ではありますがレンジャークラスは「6」であります。
あなたを救助するのに差し支えはないと、ユニオンは判断したと思いますが……
「ああすまん、君に罪はない。この森で迷って助けを呼んだのはこの私。名前はラゴウだ。君も名前を名乗り給え……」
タカマルです。
「そうか、タカマルというのか……では、私を森の入り口まで案内したまえ」
「ホントに偉そうだねコイツ……」
こらマイナン……私のパートナーが失礼しました
「ふん、これだからポケモンは……」
……あの目つき、やはりポケモンを嫌っているってのは間違いなさそうだが
なんだろうなコイツ……まあ今こんな奴の事を考えている場合じゃないな
近くにいるだけでムカムカするのに、余計腹を立てても仕方ない。
さて崖があって戻れないし、先に進むしかないが……大木が横たわっているな
なるほど、これがあるからコイツはここで救助を要請するしかなかったのか?
さてどうしたものか……こんなことなら途中にいたヒノアラシをキャプチャしておけば良かったな
だが運良く、近くにマグマラシがいる。彼に手伝って貰うか。
まずはキャプチャ。そしてターゲットクリア。
かなり大きな木だが、マグマラシの火力なら充分。無事道を確保できた。
「ほう、まあまあやりおるな」
俺の様子を見ていた老人……ラゴウが口を開いた。
「私の知る限りでは……そのスタイラーという道具は誰もが使える訳では無い。レンジャーが「正しい気持ち」とやらを持っていないと、キャプチャは成功しない……そうだったね?」
ええそうです……と、俺が答えるやいなや、笑い出しやがった。本当に感じの悪い奴だな……
「でもな、タカマルクンとやら……「正しい気持ち」ってなんだろうね? 今正しいことは、何時までも永遠に正しいことだなどと断言出来るものか?……ふふふ、新人の君には少し難しかったかな」
俺の返答は期待していないらしく、とっとと先へ進むぞと促してきた。
なんだコイツは……まあ確かに、「正しい」ってのは不変的な物じゃない。
人それぞれ、そして状況や時代によって変化するのは確かだ。
だが、ポケモンと向き合う……いや、「相手」と向き合うその心に、そうそう大きな「定義の変化」はありえるか?
相手を思う気持ちというのは……まあいい、どうせコイツに聞く耳はない。
とっとと森を抜けだしてミッションを終わらせてしまおう。
「カァー、カァー!」
ん? 鳴き声……この声はヤミカラスか?
お、当たった。ヤミカラスがこちらを見て……
「あのヤミカラス……森に迷った私のことをバカにしてないか?」
それは自意識過剰じゃないか? まあ確かに笑っているようだが……
「うぬぬぬ、ヤミカラスッ! この私をバカにしておるな!?」
おいおい、仮にそうだとしてもそこまで憤慨するほどか?
「なめるんじゃない!! お前なんぞはな……役立たずの! 天の邪鬼の! すっとこどっこいの! ポンポコピーの! ポンポコナの! どうしようもないヤミカラスだーッ!」
あまりの剣幕に、ヤミカラスが飛んでいった……逃げたと言うよりは呆れたって感じか?
ただあのヤミカラスはいいが、これほどの剣幕で邪魔だとか言われたら……プリンがビックリして逃げ出したのは納得だよ
「どうやら「ポンポコピー」の一言が効いたらしいな。それにしても胸くそが悪い。こんなふざけた森は早いとこ抜けてしまおう!」
……なんつーか、言動が子供だな色々と。
まるで……ああそう、まるでゴーゴー団のようだな……
……なんだこの感じ。この「直感」はこれまでも体験しているぞ……
もし、もしこの直感が正しければ……いや憶測だけの判断は危ういぞ、タカマル。
とにかく今は森を抜ける事だ……ミッションに集中しよう。
スピアー達の群れなど、障害はあったがどうにか先へ進む俺達。
そこに……またヤミカラス? さっきの奴か?
なんか笑いながら逃げていくな……挑発しているのか?
「あいつはさっきのヤミカラスか!?「ポンポコピー」が相当悔しかったと見えるな」
なんだよそのポンポコピーってのはよ。意味不明な言葉に首をかしげる事はあっても恐れる事はないっての
まあ好きにさせるか……ん、なんだこの立て看板。
「ええっと……<迷いの森>景色が似ていて迷いがち。この看板もいくつかある……だって」
迷いの森か……そういやそんな事言われていたんだっけ
とはいえ、先へ進むしかないよなぁ……む、道が二股に分かれてる。
とりあえずコッチへ行ってみるか……
「ここはさっき通らなかったか? まさかタカマルクンとやら……迷った訳じゃあるまいな!? レンジャーならレンジャーらしくなんとかしたまえ!」
……っさいなぁ。いちいち答えるのは腹が立つから無言になってしまう。
レンジャーとして褒められる対処じゃないが、丁寧に対応してられるか。
それよりも……だ。確かに、ここは一度来た道だな。
迷うにしても、真っ直ぐにしか歩いてないんだが……どういう事だ?
気付かずに曲がっていた?
だとしても、それならそれでさっきまで通っていた道のどこかと繋がっていたはずだが
ここへ来るまでは一本道だったし……
とりあえずさっきとは違う道を選んでみるか。それで解決するならそれでかまわんだろう
お、違う場所にたどり着けたな。そしてまた二手に分かれるか。
単純に、どちらかが正しくどちらかが間違い……ってことか?
ならば戻されたとしても選んだ道を覚えていれば問題なさそうだな
……何度か戻されたが、難無く切り抜ける事が出来たかな?
今までと違って、広い場所に出たぞ。
中央に大木が立っていて、そこに……
「またしてもあのヤミカラスか」
また、こちらを見てひとしきり笑って……大木の中へと逃げ込んだ。
何が目的だ? あのヤミカラスは……
「なんという執念深さだ。それにしてもこの黒い霧は一体どういうことだ? こんな陰気な森など一刻も早く抜けだそう」
ラゴウが言う通り、周囲には黒い霧が
あれ、この霧……微かだったが、先ほどから漂ってなかったか?
もしかして……急かすラゴウに押されるようヤミカラスを無視して先へ進んだが
その先は……広場の入り口に戻されていた。
そして同じようにヤミカラスが笑い、木の中へ……
間違いない。この霧はヤミカラスが発生させた「黒い霧」だ
しかしあの技は一時的に上がったポケモンの能力を元に戻す技。
道を惑わすような効果があるとすれば「黒い眼差し」の方だが……
なるほど、併用しているのか。
さっきからヤミカラスが「こっちを見て笑っていた」のは、黒い眼差しを俺達にかけていたんだな?
だから道に迷う……というより、「この場から逃げられない」んだ。
だが……何故だ?
ただ俺達をバカにして楽しんでいるだけ……なのか?
「あそこにいるヤミカラス……なんとも不吉な顔でせせら笑いおって! 君はレンジャーなんだからあいつを何とかしろ!」
俺のように真相について気付いたのかどうか判らんが、ラゴウが怒鳴り散らしている。
まあどうにかしないとならないのは確かだな……まずヤミカラスを木の中から引きずり出さないと
側にいるゴマゾウの力を借りて、木を大きく揺らす。
そうして出て来たヤミカラスをキャプチャ……っと、一緒にイトマルも四人出て来てしまったか
しかたない、まとめてキャプチャするか
一緒に出て来たイトマルをキャプチャし、そのままイトマルにポケアシストを頼みヤミカラスを束縛。
その隙を付いて一気に……よし、キャプチャ成功!
「キャプチャに成功したら黒い霧が晴れた……あれはヤミカラスの奴が生み出していた霧だったのか?」
それは確定的だな。さて問題は、なんでこんな事をしたのか、だ。
キャプチャした事だし、じっくりと話を……
「それにしても腹立たしいな。こんな奴に弄ばれていたとは……君、ボヤボヤしてないでさっさとリリースしてしまえ!」
ったく、少しは状況を理解しようとか……仕方ない、ここでごねられても後々厄介だ。
ここは素直にリリースするか……ヤミカラスの奴、俺を見て不敵な笑みを浮かべやがった
が……不思議と不快な気にはならないな、ラゴウと違って。
まあ微笑みかけられるなら♂よりも♀が良かったが……
「どれだけ時間が掛かるのだ、まったく。今度こそ森を抜けるぞ」
へいへい……まあとっとと出たいのには同意だがね。
ようやく行けるようになった道を抜けると……祠?
ああ、ここはあの祠の場所か。
「ご主人様、アイツ!」
ん……ゴーゴー団! 下っ端がなんでこんな所に!?
「あっ、逃げちゃった……」
相変わらず逃げ足だけは速いな……
「今のはゴーゴー団……後ろ指指されて鼻つまみ者などと陰口も叩かれるそうだが、実際の所はどうなのだろうな。誤解されてる部分も多いのではないか? むしろ道案内さえろくに出来ないレンジャーよりよほど役に立つかもしれんぞ?」
そうですかい……そんなレンジャーの助けがなければ飢え死にしそうだったご老体はどうなんですかね?
「……レンジャーにしては口の利き方がなっておらんな」
町の人々を脅すゴーゴー団よりは丁寧なつもりですけどね
「ふん……ここまで来れば後は一人で大丈夫だ。とりあえずは君のおかげ……としておこうか。ユニオンのレンジャーと楽しい一時を過ごすことが出来たよ。ふふ……ふふふ……ふはははは!」
笑いながら、ラゴウは一人で帰って行った……
……不快感に頭が揺らぐ、息が詰まる、胃が痛む……
憶測だけで判断するなと自分に言い聞かせたが、それでも俺は断言するぞ
アイツは……ゴーゴー団だ
あの老人を嫌っているからそう思うんじゃない。長年の「勘」が俺に告げるんだ。
直感ってのも、バカに出来ない。俺はソレで切り抜けてきたからな……
まあだとしても、なんでこんな所に?
アイツは何をしにこんな所まで……
一人眉間にしわを寄せていると、いつの間にかイマチがこちらへ来ていた。
「今のがミッションをお願いしてきたご老人? なーんだかずいぶんと偉そうにしてるんだね。ふははははーとか言っちゃって」
偉そうってだけで片付くなら良いんだけどな……
「なんかあったの?」
いや……ただ、ミッションを今終えたところだ、それだけだよ。
「そうなんだ、ねえねえタカマル! 僕もミッションさっき終わったんだけどさ、いやー、やりがいあったあった! どんなミッションか知りたい? 「別に」って言った? そんなこと言ってない? じゃあ仕方ないな。教えてあげるね! 僕がやり遂げたミッションは珍しくすごいミッション! アリアと一緒にゴーゴー団の足取りを洞窟とかで探ってきたんだ! アリアってほら、結構気分屋さんじゃない? そうゆうのもあって、非常に困難なミッションだったな……疲れた? 帰ろっか?」
さしものイマチも俺の不機嫌な空気を読んで、帰還を口にした。
まあ機嫌悪いのは確かだし、イマチの話はどうでもいいが……彼の明るさに少々気分が軽くなったのは事実だ。
家族……ね。ヒナタが言うのも、判らんでも無いな

「迷子になっていたおじいさんは変わり者とはいえ、心細かったことと思う。ひとりぼっちの森の中で、君の姿を見た時にはそれは嬉しかっただろう。老人の我が儘に耐えて良くやってくれた。今からタカマルのレンジャークラスを「7」に認定しよう!!」
……クラスアップに価するだけの我が儘だったぜまったく
「はっはっはっ……しかしどうして誰も立ち寄らない場所に、あのおじいさんはいたんだろう? 何か引っかかるな……」
……ここで俺の「勘」について伝えるべきか迷ったが
控えておくべきだろうな……俺の心情はともかく、やはり憶測だけの確信は第三者にとっては不確定情報にすぎないし
ただ一つだけ伝えなければならない事がある
ハヤテ、あの森でゴーゴー団の下っ端を見かけたぞ。
すぐに逃げ出したしミッション中だったから追いかける事は出来なかったが。
「なんだって? そうかあの森に……直ちに調査隊を派遣しよう。しかしなんだってあの森に……」
森で祠を見かけたが、あの祠や迷いの森が、伝説のポケモンと関連があると思ったんじゃないか?
「そうだろうね。よし、イマチ達を向かわせよう。タカマルも……」
っと悪い、メールだ……カムリから?
『カムリからタカマルへ。ニョロトノの救出ではポンプが世話になったね。大事なミッションがなければ、サマランドのレンジャーベースまで来てくれないか? 君に渡したい物があるんだ。ものすごく良いモノだから、期待して良いと思うよ!』
大事な「ミッション」はまだないが……どう思う? ハヤテ
「なるほど……これは良い機会かも知れない。タカマルのレンジャークラスも上がったことだし、各地のレンジャーベースを行き来出来る「カイリューバス」の使用を許可しよう! タカマル、2階に来てくれ!」
いやそれよりも……って行っちゃったか。
まあ使えるようになると便利そうだとは思ったが、今でなくともなぁ
仕方ない、上へ行くか。

「話はリーダーから聞いてるよ。サマランドに行きたいんだろ? さあ乗ってくれ!……と言いたいところだが、そう簡単にはいかない。カイリューに認められたレンジャーしかカイリューバスに乗ることは出来ない。どうやってカイリューに認めて貰うかだって? 君はレンジャーだろ? 君の気持ちをキャプチャでカイリューに伝えるんだ」
いやまあその前に俺サマランド行き決定?
プレゼントならいつでも受け取れるだろうに……まあ調査はイマチ達に任せた方が良いのか
それはそれとして……とりあえず、キャプチャする事がカイリューバスの使用試験って事か?
「そういうことだタカマル。覚えているかどうか、君がここに来る前私に手紙を7通くれただろ? あの中の1通に、君はこんな事を書いていた。「ポケモンは道具じゃない。ポケモンは乗り物じゃない。人間とポケモンの気持ちは一方通行じゃないし、お互いの得意なことを分かち合うことが出来るのです。そうすればきっと、人間だって空を飛べるし、ポケモンだってより幸せになれるんだと思います」何度も読んだからこうして覚えているんだよ。どうだタカマル。昔の君のその熱い想いを、今ここで証明してみないか?」
……そんな手紙は書いた覚えがないぞハヤテ
つか、あれはフェイクの為にアンタが書いたんだろうが……俺をどんな熱血キャラにしたいんだよ
まあ言っても始まらないか……
「それじゃあタカマル、準備はいいかい?」
カイリューバスを管理しているレンジャーが問いかける……OK、いつでも行ける
「よし、良い返事だ! それじゃあ行くぞ! 君の気持ちをキャプチャに込めるんだ!!」
カイリュー自身は強いポケモンで、本気でやるならキャプチャは相当難しいはずだ。
しかし狭い室内ではカイリューも本気を出す事も出来ない。
まあ試験のようなものだから、カイリューが本気を出す必要も無いのか。
……よし、キャプチャ完了
「中々見応えのあるキャプチャだったよ。どことなくリーダーのスタイルに似ている感じがしたな」
なにがどう似ているのか、俺にはサッパリ判らんが……
少なくとも、俺はハヤテのような熱血キャラじゃないのは間違いないと思うぞ
……なんだよマイナン、その顔は。
「カイリュー、タカマルのことを認めるかい?」
「うん。彼の熱いハート、レンジャーとして認める他ないね!」
いやだから……もういいよ
「タカマルの気持ちはカイリューに伝わったようだ。おめでとう! これで君はいつでもカイリューバスを使えるようになったぞ。一度行ったことがあるレンジャーベースならカイリューでひとっ飛びだ」
とにかくこれで便利になったな。
ただ……いやまあ、♀が良かったとかそういうことを言ってる場合じゃないな
「サマランドに付いたらカムリによろしく伝えてくれ。でもあいつがくれる物と言ったら……まあ行って見れば判るさ」
またそういう含みを持たせて……なんなんだよハヤテ
「まあまあ……とにかく、あっちにはヒナタもいる事だし、頼むよ。ゴーゴー団の事はこちらで調査をしておくから」
頼むぜハヤテ。
「よしっ! それじゃあカイリュー! タカマルを乗せて最高のスピードでサマランドまでだ!」
「了解。飛ばすからシッカリ掴まっててね!」
少々ゴーゴー団の事で後ろ髪引かれつつ、俺達は急遽サマランドへ向かった
まあプレゼントとやらを受け取ってすぐに戻ってくればいいか……そう、俺は軽く考えていたんだがな……

PR:ミッション5・落石を取り除け!

サマランドという観光地に、ゴーゴー団の目撃情報がレンジャーユニオンに寄せられた。
ゴーゴー団の捜査に大勢の人員を割いているリングタウンやフォルシティからレンジャーを派遣するのは難しいと判断したハヤテは
新人を理由に捜査から外されていた俺の派遣を決め、送り出すことに。
果たして……ゴーゴー団はサマランドにいた。
ゴーゴー団は盗んだスーパー・スタイラーをベースにしたと思われる新型スタイラーを使い
強引にポケモンをキャプチャし、無理強いさせていた。
更に、「ゴーゴー4兄弟」を名乗る4人が俺の前に現れ、自ら野望を語り出した。
ゴーゴー団にキャプチャされたポケモン達を解放しながら、どうにかサマランドでの事件を解決した俺は
最近生意気な口をきくマイナンに「お仕置き」を施した後
急ぎフォルシティへと戻っていた。
「はぁ……もう、ご主人様激しすぎて……本気で癖になっちゃいました♪」
うーむ……自分の才能が怖いな。マイナンが被虐系に完全開眼してしまったか。
こりゃもう本当の意味での「お仕置き」にならなくなったなぁ
「元から「お仕置き」になってないもん。ご主人様がしてくれることだったら、なんだって嬉しいし」
むぅ……奴隷がデレデレ過ぎるのも問題だなぁ
こうなったら……次なんかしたら捨てるか
「ちょっ……冗談でもそんなこと言わないで……そんなこと……いや、絶対にいや……」
あー、悪かった……ほら泣くな。なんだ、その、まあちょっとは反省しろって事だよ……うん
「うん……」
「あー、仲が良いのはとっても良いと思うんだけどねお二人さん。でもせめて、私の背中でいちゃつくのは控えてくれるかしら?」
ああ……すまんなラプラス。わざわざサマランドとフォルシティを往復して貰ってるのに
「はぁ……私もおじさんとイチャイチャしてみたいわ」
あはは……まあ普通は人とポケモンとの愛情も性的な事へ発展はしないからなあ。
俺達が変態なだけで、あのおじさんは正常なんだから……
「ええ、私だって流石にあなた達みたいなことをシテ欲しいなんて思わないわよ」
だよな。ま、君達は本当に仲が良いようだから問題ないんじゃないか?
「今はね。だけど……ゴーゴー団? そんな奴らが私達の間に割って入るかもって考えたら……」
そうならないよう、俺達レンジャーが奴らを止めてみせるよ
「ええ、期待してるわ……もうじきフォルシティよ」
お、港が見えてきたな。さて、プラスルのようなポケモン達を守るためにも
着いたら早速ハヤテ達と作戦会議かな……

フォルシティの波止場にたどり着いた俺達を待っていたのは、ハヤテだった。
「おかえり、タカマル! 良い色に焼けてるな? カムリからニョロトノ騒ぎの話は聞いているよ。大活躍だったって? まあ詳しい話は後でゆっくり聞かせて貰おう」
あまりゆっくりもしていられないと思うがな……
「まあそうだね……ああそうだ。ゴーゴー団なんかが現れて今緊急事態だから……悪いけど、ジョウとカムリには君のことを伝えたよ」
俺の事をって……トレーナーだって事?
「ああ。君がこれまで何をしてきたか、そして何故こちらへ来たのか、洗いざらいね。ゴーゴー団を追い詰めるには、やはり君の協力が不可欠だろうから」
まあ……俺は構わないんだけどね
「詳しくはレンジャーベースに戻ってから。ジョウや教授が待ってるんだ」
早速作戦会議か。やはりゆっくりするつもりは無いんだな。当然だけど。

「さて……それじゃあ会議を再開しよう。ゴーゴー団の奴ら、サマランドに現れたがまた姿を消したようだな」
レンジャーベースに着いて早々、待っていたジョウと教授を交え俺達は作戦会議を始めた。
「気になるのはゴーゴー団が使っていたスタイラーのことだ。カムリの報告を聞くと、盗まれたスーパー・スタイラーによく似ているんじゃよ。たとえレンジャーでなくともあらゆるポケモンを簡単にキャプチャ出来てしまうことや、どんなに良くない事にでも何度でもポケモンの力を利用出来てしまうこと……多少の違いはあるが、スーパー・スタイラーをベースに作られた物に間違いない!」
やはりそうか。制作者の教授が酷似しているというのだから間違いないのだろう。
教授の話による、レンジャー以外でも使えるなどの機能は、元々試作段階だったからだそうで
完成してから色々と制御を加える予定だったらしい。
「……開発途中のスーパー・スタイラーの場合、ポケモンの力を無理矢理借りようとするとポケモンにダメージを与えてしまうこと……それが気がかりですね」
ジョウは既にスーパー・スタイラーのことを盗まれる前から聞いていたようで、機能については良く知っていた。
そしてその副作用なんかも。
この問題は、ゴーゴー団のような悪党がポケモンを自由に捕獲、悪用する事だけではなく
その際に生じてしまうポケモンへのダメージも深刻なのだ。
「教授! タカマルの報告を思いだしてください。ゴーゴー団のポケモンをタカマルがキャプチャした後、何故か自動的にリリースされたそうですね? つまり、奴らのスタイラーは実はまだまだ完成していないのでは?」
本来なら、キャプチャしたポケモンは別のスタイラーによってキャプチャし直されたりはしない。
これは一度ポケモンボールで捕獲したポケモンが別のポケモンボールによって捕獲されないのに似ている。
「その通りじゃハヤテ。中々良いヨミをしておるぞ。どうやらゴーゴー団はポケモンを完全に操れるわけではなさそうじゃ。奴らが繰り出すポケモンをレンジャーがキャプチャすると、元の状態に戻ってしまうらしいのじゃ。レンジャーの正義の心がポケモンに伝わるのじゃろう」
……俺に正義の心ってのがあったかどうかは疑わしいがなぁ……なんかマイナンがニヤニヤしているが見なかったことにしよう。
ともかく……「キャプチャの相殺」が起きるのは事実のようで、今のところこれが唯一の対抗策になっている。
「とにかくゴーゴー団のスタイラーが完成する前に、なんとかしないと! つまりここで長話などしてる場合ではないのじゃ!!」
長話って……あーあ、出て行っちゃったよ
「教授は相変わらずせっかちですねえ……」
そのようだな。まあ……現状の確認くらいしか、今できることがないってのも事実だけど。
「とりあえず私とハヤテは情報集めに専念しましょう。伝説のポケモンについて口にしたことも気になりますし……」
確かに……ジョウが言う通り、あいつらが伝説のポケモンなんてことを言いだしたのが気になる。
じゃあそっちの事は二人に任せるとして……俺はどうする?
「……悪いが、現状維持をお願いしたい。君のことはハヤテから聞いたが、尚のこと、君は我々の捜査に参加しないままでいて欲しい」
何か考えがあると?
「ゴーゴー団に対し即座に対応出来るあなたを、捜査で拘束させたくないのです。ですからあくまで君は「新人」のままでいて欲しい」
なるほど……まあ確かに、自由に動き回れた方が都合良いか。
「だがこのまま待機して貰うほど、我々も人員が足りているわけではなくてね……」
「実は君に頼みたいことがある。覚えているか? タカマルと教授が通ってきたクロッカトンネル。あのトンネルはリングタウンとフォルシティを結ぶ大事な通路なんだ。しかし落石が邪魔で街の人々が通れずに困っているらしい」
ああ、ゴーゴー団の下っ端が落としたあれか……そうか、アレがまだそのままなのか。
ハヤテが言うように、レンジャーとしてはアレの処置をこれ以上後回しには出来ないか。
「クロッカトンネルの落石を取り除くこと。これが今回のミッションだ! 一人では大変だろうから、フォルシティのレンジャーに応援を頼んでいる。頼むぞタカマル! そのフォルシティのレンジャーは、一足先に現場に向かっているはずだ」
了解……まああのトンネルなら双方の街から近いし何かあればすぐに駆けつけられるだろうから問題ないだろう。
それに一人既に向かっているらしいから……どうにかなるかな。
よし、早速行くかマイナン
「うん。ちゃっちゃと片付けちゃおうね」
そうだな……だが、なんか妙に胸騒ぎがするんだよなぁ
何事もなければ良いんだが……

トンネルの入り口では、事情を知ってか知らずか、一般の人もチラホラ見かけた。
やはり普段から利用していたトンネルが通行不能になるのは不便なようで
中には俺の姿を見かけてホッと安堵の表情を浮かべる人もいた。
その期待に応えるべく、さっさと片付けたいところだが……おや、アイツは……
「ありがと! ハリテヤマ」
大きな落石をハリテヤマの力を借りて除去していたレンジャーの姿が見えた。
そのレンジャーこそ、ハヤテの言っていたもう一人のレンジャーなのは間違いない。
問題は、そのレンジャーが……アリアだったって事だな。
「あら? タカマル。後から合流するリングタウンのレンジャーってあなたのことだったの?」
そーいうことだな。俺もまさかアリアがやってるとは思わなかった。
「そうでしょう? 私はゴーゴー団を追いかけるのに忙しいというのに……」
まあ……そう思うなら、早々ニコのミッションを片付けてしまおうぜ。
「何も二人で一緒にやる仕事だとは思えないわ。ここまでやってあげたんだから、後は一人で出来るでしょ? 残りの落石は後3つよ。私ゴーゴー団の事で忙しいから、これで失礼するわね」
はぁ? ちょ、待てよアリア……
「……行っちゃったね」
ったく、なんなんだアイツは。
フォルシティのリンキは、あのアリアが次期リーダー候補だなんて言っていたから腕は確かなんだろうけど……性格に難ありだな
「もしかして、リーダー候補なんか言われちゃってるから成果を焦ってるのかな?」
ああ……そうかもな。それはあり得るな。
しかしこんな事を続けていたら他のレンジャーからの信用失うし、良い成果に結びつかないと思うんだがなぁ
「なんだったらご主人様がガツンと言ってやれば? あの人、たぶんツンデレだから」
この際ツンデレかどうかは関係ないだろ
「大ありだよぉ。だってご主人様、ああいう人を奴隷にするの趣味でしょ?」
……否定はしないが、俺にも節度があるんだよ一応
「うっそだぁ! 節度があったら方々に「現地妻」を残していったりしないでしょ?」
そんなにお仕置きして欲しいのかマイナン……
「うん!」
……先を急ぐぞ
「えー、してくれないのぉ?」
……本当に困ったことになってきたなぁもう……
まあいい、とにかく今はミッション優先。
まずは落石箇所の確認と、ハリテヤマのキャプチャか。
アリアの話だと、後3箇所だったか……通路を塞いでるってことだからこの先に……ん?
「ポケモン・ア・ゴーゴー!!」
突然、叫び出す四人組……コイツらは……
「急いでいたって、立ち止まれ!」
「耳を揃えて、これを聞け!」
「怒りのリズム、土深く!」
「野望のメロディ、天高く!」
「知らなきゃ話して聞かせてやろう! ヤライ! ユウキ! ヨウジ! ミライ! ゴーゴー団の一押しバンドはいいとこ取りのセレブリティ! 誰が呼んだかその名前……我ら、ゴーゴー4兄弟!!」
まさかこんなところでまた出会うとはな……サマランドから姿を消したと思ったら、次はここかよ
「今回は決まったな? さてと……トンネルでユニオンのレンジャーがなにやら活動しているらしいと連絡を受けてきたのだが……はっはっはっ! サマランドのジャングルで世話になったお前が、石っころのお片付けをしているという訳か!……それはアルバイトなのか?」
その石っころをドカドカ落っことすバカどもがいるんでね。まったく、迷惑な話さ。
ヤライだったか? ギター男の嫌味にとりあえずつきやってやる俺。
だがベース男がこの流れを無視して、違うことを言い出してきた。
「この洞窟のどこかに、伝説のポケモンが眠る。あなたはそんなウワサを聞いたことがありますか? ワクワクするお話だとは思いませんか? もっともレンジャーごときに伝説のポケモンを使いこなすことなど出来はしない。あなた達レンジャーはせいぜいジャングルでニョロトノとかくれんぼをしたり、トンネルの中で石っころを片付けたりがお似合いと言ったところでしょう」
「うわ、きっつう! 相変わらず丁寧言葉できついこと言うね、ユウキ兄さん。その上それは、全く正しいと来てる! ポケモン扱いについちゃ、今やレンジャーなんかよりも、ゴーゴー団の方が遥に上いってるもんな。何しろ俺達には新型スタイラーがある! これでポケモン捕まえてああしてこうすりゃ、金儲けだってバッチリだぜ!」
ほう……そんなレンジャーにことごとくポケモン達を開放させられたのは誰だ?
そんな連中がレンジャーよりも扱いが上手いと……よくそんなことが言えるな。現実を見ていないのか?
結局はその新型に頼っているだけのザコどもが……
「……だって新型はまだまだ試作品だからね。今やってる事って実験も兼ねてるってわけ。レンジャーさん、本番を楽しみにしててね!……ハイ! 今回の情報は残念だけどここまで! バイバイ、またねー!」
言いたいことだけ言って又立ち去ろうとする四人。
本番だぁ? ふざけるな。お前らにそんな機会はもうねえよ。マイナン、追いかけるぞ!
「うん!」
逃げる四人をすぐに追いかけたが……やはりか、下っ端が退路を確保するように立ち塞がった。
「伝説のポケモンを探しているんだ! ジャマをするな!」
邪魔はお前だ!
くそっ、また逃げられたか……仕方ない、まずはこの下っ端に掴まってしまっているイシツブテ達を解放してやらないと
イシツブテは進化前ということもあって、そう難しくない相手。
直ぐさまキャプチャに成功し、彼らを解放することが出来た。
「本気出すなよー」
捨て台詞を残して逃げ出す下っ端。
キャプチャし終わる直前くらいから距離を取っていたようで、追いかけるのは無理だった。
逃げ足だけは速い連中だ……悪党連中の特徴だな。
それはいいとしてだ……こんな所にゴーゴー団が出てくるとは。
伝説のポケモンを探している? こんな所にいるのか?
「とりあえず、ハヤテさん達に連絡しないと」
だな。通信手段がメールしかないが、出来るだけマシか。
……よし、送信出来た。とりあえず俺達は……落石の除去続けよう。
「ゴーゴー団を探さないの?」
ここにいるってだけでアテがない以上、無駄に探し回るよりもミッションを片付けた方が良い。
というか、落石除去を続けながら平行して探す感じだな。
効率を考えればそれしかないだろ。連絡はしたからハヤテ達もじきに来るだろうから
「そうだね。じゃあとりあえずハリテヤマ?」
だな。確かコッチの方にいると聞いたが……行こうか。
「うん」
ひとまずハリテヤマのキャプチャへ向かった俺達。
そしてある意味予測通り……その道中、下っ端に遭遇した。
「お前レンジャーか!? 何しに来やがった! しゃあ、このやろう!」
奇声を発しながら、ブルーを仕掛けて来やがった。
ブルー……フォルシティにいた野生のブルーか?
「そうかも。見覚えのある子もいるよ」
そうか。なんにしても解放してやらないと。マイナン、放電!
「任せて……いっけぇ!」
よし、上手くまとまったところで痺れてくれた……一気にキャプチャ完了。
「別に悔しくないっすよ。俺を悔しがらせたらたいしたもんだ」
なんだその捨て台詞……どこのプロレスラーだ
「ちょっとネタが古いかも……」
言ってやるな……泣きながら逃げたことだし。
どうやら下っ端を使って伝説のポケモンを探しているのか……
もしかして、落石はここで伝説のポケモンを探すために起こしたのか?
落石で人が近づくのを阻止して、自分達だけでじっくり探せるように
だとすれば、落石除去はそのままあいつらの計画を阻止することになるのかな。
なんにしてもミッションを継続か……む、なんだここ
「ズバット達がいっぱい……なんか怒ってるね」
静かな場所をゴーゴー団に荒らされて気が立ってるのか?
キャプチャして沈めてやりたいところだが、これだけの数をキャプチャしていられないな。
見境無く超音波を放ってくるズバット達をかいくぐり、ハリテヤマがいる空洞へ
まずは一人、続けて二人同時、計三人のハリテヤマをキャプチャ出来た。
彼らも気が立っていたようで、キャプチャにはだいぶ手こずった。
「また落石を壊して欲しいのか? さっきもお嬢ちゃんに頼まれて戻って来たばかりなんだがな……」
あー、そういう事情もあったのか……悪いな、もう一度力を貸してくれ。
「まあいい。あんたらレンジャーならいくらでも力を貸す。あのおかっぱ連中は願い下げだがな」
やはりウロチョロしてたか……連中、何をしてた?
「よくわからんな……ズバット達を捕まえたりもしていたが、ウロウロしてるばかりで」
「ここらでは見かけないポケモンを連れている奴もいたな」
「ああいたな。シザリガーはまだしも、バクーダを連れていた女がいたのには驚いたぞ」
シザリガーにバクーダ? 女? 女というと……あのバイオリン女か?
ふむ……念のため、シザリガー対策にワンリキー、バクーダ対策にニョロゾの力もあらかじめ借りておこう。
そして落石は……まずこの二つか。ハリテヤマ、頼むぜ
「任せな……うぉりゃあ!」
「どっせい!」
二人のハリテヤマによって、固まって落ちていた石を粉砕。
む、その下からイトマル達が大量に……悪かった、こんな所を住処にしていたとは思わなかったんだ。
「とりあえず俺達は帰るぜ、レンジャー」
「達者でな。おかっぱ連中に負けるなよ」
ああ、アリガトな……さて残りは一つか。
リングタウン側の出入り口付近だったか……っと、やっぱり現れたか。
「ポケモンかと思ったら、人間かよ! それもレンジャーじゃないか! この新型スタイラーで捕まえたポケモンの威力、試すのにちょうど良いぜ!」
ハリテヤマ達が言っていた、ズバットを捕まえていた下っ端ってのはコイツかな?
ま、なんにしてもズバット達を解放してやらないと……ま、そう難しくなかったな。
「えーっと、出口はこちらでよろしかったでしょうか?」
収容所の入り口なら教えてやるぜ?
「ご勘弁を~、ひゃあー!」
ちっ、知ってんじゃねえかよ……まあいい、とにかく落石を片付けないと
再び先を急ぐ俺達の前に、またまた下っ端が……
「伝説のポケモンは中々出てこないし、暗いし腹減ったし、お前に八つ当たりだ!」
イライラならコッチもだいぶ貯まってんだがな……
俺に向けけしかけてきたのはシザリガーとクラブか、こいつもハリテヤマ達が言ってた下っ端だな。
ワンリキー出番だ。力を貸してくれ。
「おう、いつでも来い!」
格闘タイプのポケもモンによるポケアシストは、キャプチャ回数を減らしてくれる効果がある。
しかもシザリガーは悪タイプ。相性が良く、通常よりも更に回数を減らすことが出来る。
一気に二人をキャプチャし、解放することが出来た。
「八つ当たりして返り討ち? 俺かなり情け無くない?」
さらにここから逃げ出すともっと情け無いぜ?
「それは……もう情け無くても良いですぅ!」
やっぱり逃げたか……まあいい、とにかく落石を片付けよう。
これが最後の一つかな。ハリテヤマ、頼むぜ。
「おうよ……ふんっ!」
よし、これで全部片付いたか……ありがとな、ハリテヤマ
「おう、じゃあなレンジャー」
これでミッションは終わったが……まだゴーゴー団が残ってるな
「もうみんな逃げたかもよ?」
その可能性は充分にあり得るが……っと、メールだ。ハヤテからか。
「ハヤテからタカマルへ。クロッカトンネルの件で私もすぐにそちらに駆けつけているところだ。もし落石処理が全て終わっているのであれば、リングタウン側の出口付近、ダグトリオの石像の当たりで待ち合わせをしよう。出来るだけ急いでいく」
ちょっと遅かったが……まあ仕方ないか。
まさか再びこのトンネルに現れるとは思ってなかっただろうし
犯人は現場に戻ってくるとか言うけど、おそらく何度もココは調べた後だったろうからなぁ
とりあえず言われた場所は……すぐそこか。
とりあえずハヤテと合流してから次の……
「ご主人様、誰か来るよ」
ん? あいつは……バイオリン女か!
「ンもう! あったまきた! 伝説のポケモンなんて何処にもいやしないし、兄さん達は気付かないうちに帰っちゃったみたいだし、下っ端達はあなたなんかに手こずってるようだし。最後にケジメとして私が相手になってあげる! バクーダ、こっちおいで!」
一方的にまくし立てると、女はおもむろにバイオリンを弾き始めた。
すると……言う通り、バクーダがこちらへ歩み寄ってきた。
「バイオリンを弾いた途端バクーダがやってきたから、ちょっと驚いたでしょ? これはただの楽器じゃなくて、ボスが私達ゴーゴー4兄弟のために開発してくれた、楽器型のスタイラーなの。あなたのスタイラーと違って「正しい気持ち」なんてこれっぽっちも必要なくて、「テンション」とか「ノリ」でポケモンをコントロールするわけ」
テンション? ノリ?
そうか、理屈はよく判らないが、博士の言う「レンジャーの正しい気持ち」とやらの代わりに
違う感情……高揚でポケモンをキャプチャするのか。
そもそも感情がどうキャプチャに利用されているのか見当もつかないんだが
スーパー・スタイラーを上手くアレンジされてしまっているのは確かか
あの女の言う通りならば、テンションとかを伝えるのに楽器は最適なアイテムなのだろう。
「……いけない、大事な情報をサービスし過ぎちゃったかな。さあ、こちらの準備はとっくにオーケーだけど……あなた、どうせ負けるわけだから待っててあげても良いわ。何か準備が必要なら、それを先に済ませればいいし、必要なければすぐにでも始めるわよ!」
準備? 必要ないね。お前も結局下っ端と同じザコだろうからな
「むしろあんたが準備してきなさいよ。そうね、避妊用具のね!」
……この場面で何を言い出すかなマイナン……
「だって、どうせ喰っちゃうんでしょ? ご主人様」
「……なんだか判らないけど酷いセクハラを受けた気分だわ。さあバクーダ、黒コゲにしちゃいなさい!」
バクーダか……まともに相手をしたらかなりの強敵だな。
しかしハリテヤマから事前に情報を聞いていて助かった……ニョロゾ、アシスト頼む。
「うむ、任せるゾ」
水ポケモンのアシストは、大きな水の泡を作り出しそこにポケモンを閉じ込める技。
相手は炎タイプのバクーダ。相性が良い為泡による拘束時間が長い。
そこを一気にスタイラーで囲み……キャプチャ成功!
ニョロゾのアシストのおかげでかなりアッサリとキャプチャ出来たな。
正直、ハリテヤマ達のキャプチャの方が苦労したくらいだ。
「あなたちょっと……たいしたものね……良かったらいっそのこと私達の仲間になって……あら? 誰かやってくる……」
何か言いかけた女に、下っ端が駆け寄ってきた。
「ミライさん、不味いです! 非常に不味いです! 凄腕のレンジャーが格好良く現れまして、我々あっと言う間にやられてしまいました!」
凄腕のレンジャー?
「もしかして、ハヤテさんかな」
だろうな……来ていたのか。
「お前達……ここにいるレンジャーに負けて、更に又別のレンジャーに再び負けたと言うこと? 3度目も勝てない気がするから、とりあえず退散するわ。バイバイ、またねー!」
ちょ、待て女!
「ミライよ。覚えといてねー……」
くそ、又逃げられた……
「なんかあの人……ご主人様のこと気に入った? これは……にひひひ、これはこれは、そーいう……ひひひひひ」
イヤラシイ笑いをするなぁマイナン……
悪いが、お前の期待に応えるつもりはないぞ。今回ばかりはな
「あれ? どーして?」
あの女……ミライは、たぶん堕とせたとしても連れ帰ることは出来そうにないだろう
四兄弟つるんでるようだからな。
「逆に言えば、それがなければ堕とす気だったんだ」
……悪い女にはお仕置きが必要だからな
「それがご主人様の趣味だもんねー……あ、ハヤテさん来たみたい」
マイナンに小言を言う時間もなく、ハヤテは駆け寄ってきた。
そっちでもなんか下っ端が暴れていたようだなハヤテ。
「ああ。だがゴーゴー団の奴らはもうここにはいないようだな。あいつら、伝説のポケモンを探していたんだって?」
そのようだったな……
「一体何のために……とにかくミッションクリアだ! リングタウンに帰るとしよう!」
そうだな……とりあえず伝説のポケモンを探していることが判ったんだ
今後は伝説のポケモンがいるとされている場所を中心に探せば、また手がかりが見つかるかもな
「そうだな」
今後のことを話し合いながら出口を出ると、そこには……
「タカマルじゃない! 久しぶりだね、元気にしてた?」
ヒナタか。久しぶりだな。
「リングタウンに戻るなら、私も一緒に行くわ! 歩きながら色々お土産話聞かせて欲しいし!」
……なんか妙にテンション高くないか?
「そう? 私はいつもこんな感じだよ?」
そうなのか……どうなんだ? プラスル
「うん、ヒナタはいつもこんな感じだよ。だけどちょ……」
「ほらほら、立ち話してないで帰りましよう!」
あ、ああ……やっぱりなんかテンション高いよなぁ……
「これは……そうかなるほどねぇ。そういうことでしょ? プラスル」
「はは……まあマイナンの想像に任せるよ……」
……なんとなく見えてきたが、理由がよく判らん。
なにかプラスルに吹き込まれたのかなぁヒナタの奴。
まあなんだ……モテて悪い気はしない。
特にヒナタはこう……うん、好みではあるけどさ、しかしなんで急に……
まあいい、そのうち判るだろう。
「理由なんか後回しで喰っちゃうのがご主人様なのに……」
……もしかして、妬いてるのかマイナン
「……なんかさあ、プラスルがヒナタにべったりしてるし……いいもん、ご主人様にベタベタしてやる」
嫉妬してるのは俺じゃなくてプラスルにかよ
「だってご主人様が女の人食べちゃうのは日常茶飯事でしょ?」
どーいう目で見られてるんだ俺は……
「ほらぁ、何してるの? 早く帰ろうよタカマル!」
あーはいはい、今行きますよ……まあヒナタは元々明るい娘だったし
誰にでも親しげに接してるんだと思うんだけどね。
ま、そこを勘違いされやすいタイプかも……ちょっと俺は勘違いしないよう気を引き締めないと。
浮かれてはいられないからな……ゴーゴー団の動向を見ているとさ。

PR:ミッション4・ニョロトノは何処だ!?

フォルシティでのベトベター騒動を無事終決出来た俺達。
だが、何故地下水道にベトベター達が大量に発生したのかは謎のまま。
怪しいのは、水を浄化する際に発生するヘドロを収拾していた部屋。
あそこにはドガースもいたし、ベトベターがいてもおかしくはないが
水質保全の為、ドガースはまだしもベトベターが入り込まないよう管理していた。
事実、あのヘドロ廃棄部屋ではベトベターの発生は確認されておらず、
他の通路などでベトベターが現れていた。
そう……通路、というのが怪しい。
外から連れ込んで、そのまま待機させるにはちょうど良いとは思わないか? 通路という場所は。
中にいた整備員の目を誤魔化すなら、彼らがいる主要な場所よりは通路の方が良い。
では誰がベトベターを持ち込んだのか?
そして何のために?
鍵となるのは……あの場所でゴーゴー団の行方を追っていたアリアと出くわしたことか。
結局奴らを確認することは出来なかったようだが、
ゴーゴー団の情報と今回の事件とを切り離して考えるバカはいないだろう。
しかし結びつけるにしたって……手がかりが少なすぎる。
目的も手段も、謎が多すぎる……
ゴーゴー団の行方も、まだその尻尾も掴めていない状態で……皆、疲れた顔をしている。
そんな折……事件の翌日にハヤテからメールが届いた。
「ハヤテよりジョウとタカマルへ。ゴーゴー団がサマランドで活動を再開したという未確認情報が入った。もしも今クリア途中のミッションがないのであれば、タカマルはサマランドへ向かってくれないか。これはミッションではない。自分の目と耳でゴーゴー団に関する情報を集めてくるんだ」
「ついにサマランドにもゴーゴー団が……」
メールを確認した俺は直ぐさまジョウの元へ確認に向かった。
むろん、ジョウは既にメールを確認済みだった。
サマランドという場所は、ここから海を渡ったところにあるリゾート地らしい。
本来この手の情報収集は俺の役割ではないが
今現在フォルシティやリングタウンでゴーゴー団を追っているレンジャー達から人員を割くにはちょっと情報が曖昧らしい。
そこで……俺の出番、ということになったようだ。
まあそれだけではないんだろうけど……ハヤテの気遣いもあると俺は思っているんだけどね。
まあそれはともかく、すぐにでもそのサマランドって所へ行きたいんだが……
「すぐに向かって欲しいのですが、一つ問題があります。サマランドに向かう定期便の船が何故かストップしているのです」
あー、そういや初めてここにたどり着いた時も、港の案内所で似たようなことを言っていたような……
「カイリューバスに乗ればサマランドなどはあっと言う間なのですが……君のレンジャークラスではまだ無理でしょう。どうしたものか……?」
ああ、カイリューに乗せて貰えるなら確かに早そうだが……こればかりは何とも言えないか。
ハヤテのオニドリルに協力して貰う……ってのも難しいか。
マイナン含め三人をリングタウンまで連れて行くのにだってかなり体力を消耗していたし、
海を渡る長距離はとてもじゃないが無理だろうな。
とりあえず、定期便がストップしている原因を聞き出して、対策を立てるのが無難じゃないか?
「確かにそうですが……あっ、そうだ。いつも港にいるラプラスおじさんはどうでしょう。彼に訳を話せばラプラスに乗せてくれるかもしれません。彼は中々話の分かる人ですからね」
ラプラスおじさん?
「港でいつもラプラスといるおじさんです。彼はラプラスと心を通わせていますから……レンジャーで言うならば、ラプラスは彼のパートナーポケモンですね」
なるほど……ラプラスは人を乗せて泳ぐのが得意なポケモンだから
確かにラプラスの力を借りられるのならば……しかし大丈夫かな
「♂でも♀でも、色々とまずいよねごしゅっ……いったぁい!」
余計なこと言ってんじゃねえよ、マイナン。
まあともかく、一度会いに行ってみるか。ダメなら定期便のことを調べるまでだ。

ラプラスおじさんという人は普段から港にいるらしい。
早速俺達はそのおじさんに会いへ向かったが……
「誰でも良いから、誰かー! 俺のラプラスを助けてやってくれー!」
波止場から声が?
「ラプラスがとか言ってる。あ、ご主人様あそこ!」
騒いでいる男性と、ラプラス……そしてラプラスに威嚇しているのは、クラブか?
元々この港ではあちこちで野生のクラブを見かけていたが……どうかしましたか?
「さっきクラブの足をうっかり踏んづけちゃったら、めちゃくちゃ怒っちゃって。俺のラプラスに襲いかかってきて……頼むよレンジャー。俺のラプラスを助けてやってくれよー!」
判りました。すこし離れていてください。
「さっすがレンジャー! 返事までかっこいい!」
いやそんなこと言ってる場合じゃ……
「あれあれ? ご主人様照れてる?」
いちいちうっさいなぁ……まあともかく、クラブならキャプチャに問題なし。直ぐさま完了出来た。
もう心配入りませんよ。
「ラプラス、怪我は無かったかい? 怖い思いをさせてすまなかった!」
「平気よ……ちょっと大げさすぎるんじゃない? おじさん」
ほぉ、ずいぶん慣れてるんだなこのラプラス
「そして♀だね……さあどうするのかなぁ、ご主人様ぁ……ニヒヒヒ」
マイナン……後で覚えてろよ。
「ありがとうレンジャー! 君はラプラスの恩人だ……ところで、申し訳ないがそのクラブ、海に帰してやって欲しいんだよ。俺の不注意でこんな事になっちゃったもんだからね。クラブは悪くないんだよ」
ん、ああ。もちろんすぐにリリースしますよ……悪かったな、もう行って良いぞ。
「君には大きな借りが出来た。俺とラプラスに出来ることならば何時でも気軽に言ってくれ」
いやこのくらいなら……あー、その借りを返せと言うわけではないんですが……
俺はここへ来た目的を、おじさんに話してみた。
「えっ!? サマランドに行きたいのかい? おやすい御用さ! 俺のラプラスに乗れば、船が無くても泳げなくてもあっと言う間に着いちまうよ!」
大丈夫ですか? あなたのラプラスをお借りして。
「構わないよ。コイツは人を乗せて泳ぐのが好きなんだ。ラプラス、頼んだぞ!」
「ええ、おじさんの頼みなら。それに……ちょっといい男ですし」
はは、そう言って貰えると嬉しいねぇ
「だけど……まだまだ、あなたには「年期」が足りないわね。もっと「渋み」があればもっと良かったけど」
「あらら、ご主人様ふられちゃいましたね」
ふられたって言うか……まあ正直、ホッとしてる。
……まあショックなのもあるけど。
なるほど、こちらのおじさんがラプラスにとってはどストライクって訳か。
ある意味、安心してラプラスの力を借りることが出来そうだ。
「どうやらラプラスの奴君のことを気に入ったみたいだ。ラプラスに乗りたくなったらいつでも自由に乗ってくれ。俺に遠慮は要らないよ」
ありがとうございます、おじさん。
「準備が出来たら、ラプラス目掛けて飛び乗るんだ。サマランドまでのクルージングを楽しんでくれ!」
では早速で悪いけど……行けるかい? ラプラス
「ええ。それじゃおじさん、ちょっと行ってくるわね」
「ああ、気をつけてな」
これで無事にサマランドまで行けそうだ。
「しっかり掴まっててね……変なところを掴んじゃダメよ?」
「あー、やっぱりご主人様のどエロっぷりは初対面のポケモンにも伝わっちゃうんだねぇ」
マイナン……お前本当に覚えてろよ……

サフラの海を渡り、サマランドへ
人を乗せ慣れているのか、ラプラスのクルージングは心地好く
到着したのがリゾート地って事もあってのんびりしてしまいそうだが
俺はここに、ゴーゴー団の手がかりを求めてきたんだ。のんびりしてはいられない。
早速ここのレンジャーベースへ真っ直ぐ向かう俺に、またメールが届いた。
「ハヤテよりタカマルへ。サマランドに着いたらそこのリーダーレンジャーのカムリに会うんだ。彼に情報集めの協力を頼むと良い。既にカムリにはメールでタカマルがサマランドに向かったことを伝えてある……というわけで、ゴーゴー団の方よろしく頼む」
本当に豆だなハヤテは。
「ねー。絶対にモテるタイプだよね?」
ルックスも良いしな。マイナンはハヤテが好みか?
「あの人じゃ、爽やかすぎてエロさが足りない。やっぱりご主人様くらい鬼畜じゃないと!」
……デレてるのかけなしてるのか微妙だなおい。
まあいい……ここがサマランドのレンジャーベースか。
さて入るか……中では二人の男女が談笑しているな。
レンジャーかな? リングタウンやフォルシティのレンジャー達に比べて制服が簡素だが
この暑い土地ではこんなゴテゴテした服は着ていられないよな。
俺に気付き、女性の方が近づいてきた。
「あれ? その制服。リングタウンのレンジャーね?」
ええ、タカマルと言います。
「へえ、サマランドには何の用事?」
ゴーゴー団の情報を追って来たのですが……
「ゴーゴーどん? なにそれ?」
いや、ゴーゴー団……
「ゴーゴー団? ふうん、聞いたこと無いな……」
いや、確かゴーゴー団の話は全レンジャーに通達されたんじゃなかったか?
というか、ここのリーダーには連絡済みだったはずだが……
とりあえず、こちらのリーダーカムリさんはいますか?
「リーダーなら、今日もキャプチャ・チャレンジに出かけちゃってるから、もう朝から自由で自由で! ま、サマランドって基本的に平和だからね」
女性に代わって男性の方が説明してくれたが……ちょっとなんだ? この緊張感の無さは……
土地柄、とかで説明出来るレベルじゃないだろ。
「あ、そうだ! リーダー呼んできてあげるから、ここでのんびりしてなよ!」
ええ、お願いします……
「いこっかニョロトノ」
男性がニョロトノを連れて出ていった……なんつーか、悪気はないんだろうけど
レンジャーならこう、色々と……うーむ、なんだかなぁ
あまり職務がどうとか縛られるのは好きじゃないが、
しかしここまでのんびりモードで自由なのは……いいのか? 俺が言える義理じゃないけど。
「リングタウンのレンジャーベースと全然雰囲気違うでしょ? 驚くよね」
いやまあ……
「いいのいいの。うちらがのんびりしすぎてるのは自覚してる。でもサマランドって平和だからみんなこんな感じなのよね」
まあ、そんな感じでしたね……直行したから良く見てこなかったけど
住民も観光客も、のびのびしてたからなぁ。
「うちのリーダーものびのびしてるわよ。キャプチャ・チャレンジって知ってる?」
えっと……レンジャーの訓練向けに開かれている奴ですよね?
まだやったことありませんが、リングタウンにもありますから
「やったことないの?」
一応まだ新人なので……
「へえ、新人なのに……もうクラス4なの?」
いやまあ色々あって……
「凄いんだね、君。あ、何の話だっけ? そうそう、キャプチャ・チャレンジ。こっちだとサフラの海でやってるの。うちのリーダー、夢中になると帰る時間を忘れちゃうんだ。子供と一緒よね?……あっ、ヤバッ!」
小太りの男が入ってくるのを見た途端、女性は口をつぐんだ。
なるほど……彼がリーダーのカムリかな?
「いやぁ、キャプチャしたキャプチャした! 楽しかったなぁ今日も!」
本当にのびのびしすぎだろ……えっと、カムリさんですね?
「ん? なんだい君は?」
タカマルです。連絡は届いてませんでしょうか?
「……タカマル? ハヤテが言ってたレンジャーってひょっとして君のこと?」
はい。
「いや折角来て貰ったのに悪いんだけどね……ゴーゴーなんとかとやらは全く姿を見せないんだ。だからキャプチャ・チャレンジで楽し……いや、腕を磨いたりしながらちょっとだけのんびりしてるんだ。いやいや! いっつもこんな感じじゃ無いですよもちろん」
どうだか……いくら何でもこりゃ酷いな……まともにゴーゴー団の事をさがしたのかも疑わしいよ。
「ところでリーダー。ポンプとは会いませんでしたか?」
ポンプってのは先ほどの男性かな? そういや迎えに行ったきりだよな……
「え? いや、彼とは会ってないけど? おかしいな、すれ違ったかな……」
なんて話をしていたところ、再び入り口が開きそのポンプが入ってきた……が、様子がおかしい。
「たたたっ、大変だー! ぼくのニョロトノ、変な服装のレンジャーに持ってかれちゃった!! そいつら、見たこと無い変なスタイラーを使って、ニョロトノをキャプチャしやがった! ぼくが大声で呼んでも、ニョロトノの奴知らんぷりで……オリブジャングルの奥の方に……」
変な服装のレンジャー? 見たこと無い変なスタイラー……それってまさか……
「なんてことだ……これはひょっとすると、ハヤテの言っていたことは正しかったのかもしれんな……」
正しいも正しくないもないだろ! 最初から疑ってたのか? のんびりしすぎだろあんたら!
「ちょ、ご主人様……」
マイナンは黙ってろ!
平和なのは結構だ。だが、非常事態だってのは理解しろよ。
再三、ユニオンから通達があったんだろ! ここだけはあり得ない、特別とでも思ってたか!
そんなことで……もういい。マイナン、行くぞ
「え、あの、ご主……」
いくぞ!
「あ、はい……」
「待ってくれ……いや、色々とすまない。確かに君の言う通りだ。レンジャーとして恥ずかしいばかりだが……だが君もレンジャーなら、少し待って欲しい」
……どうしろと?
「オリブジャングルに行って、ポンプのニョロトノを探し出してくれ。これを正式なミッションにして貰おう。ハヤテとはまんざら知らない仲でもないし、もちろん連絡は私がする」
判りました。では連絡をお願いします。俺はそのジャングルへ先に向かってますから
……ったく、なんなんだよ……
「ご主人様、熱くなりすぎですよぉ」
……そうかもしれん。だがなぁマイナン……
「そんなに、レンジャーって仕事が気に入ってました?」
そうじゃない。そういうわけじゃないんだが……ああもう判ってるよ。熱くなっちゃ逆に見える物も見えなくなるからな。
……俺を落ち着かせようとか、ずいぶんとパートナーらしいことをするじゃないかマイナン。
「パートナーだもん。とりあえず今は。奴隷みんなの代表として、ご主人様をサポートしなきゃいけないだから」
ほお、しおらしいことを言うじゃないか……期待してるぞ、パートナー。
「うん!」
さて、勢いよく飛び出したは良いが……ジャングルはどっちだ
っていうか、すぐそこか。よし、ニョロトノとそれをキャプチャしたという妙なレンジャーを追うぞ……

ジャングルに入る前、ハヤテから正式にミッションとして受理したという通達が届いた。
カムリの対応が色々と迂闊だったのはもう仕方ないとして、
ようやくゴーゴー団の足取りが掴めた事だけマシか。
被害者となったポンプと彼のニョロトノは気の毒だが
……っと、こっちに向かってきているのはそのポンプか?
また何か起きたか?
「いや……ニョロトノが心配でここまで来てはみたけれど……実はジャングルが大のニガテでさぁ。タカマルにお任せでほんと申し訳ないけど、ニョロトノのこと、お願いね!」
今、この地区を任されているレンジャーにはあるまじき発言があったのは聞き逃すとして
ニョロトノのことは任せてくれ。必ず取り戻してみせる。
……とは言うものの、このジャングルというフィールドそのものが色々厳しそうだな。
いきなり崖か。蔦を登っていくしか方法がなさそうだな……
「あの人、ジャングルが苦手って言うよりも、こーいうのが苦手なんじゃない?」
かもな……正直俺だって得意じゃない。
どうにか登り切れたが……キツイなこれ。
……お前を背負いながらだったから尚更な、マイナン!
「いやぁあ……ほら、私じゃ無理だしこんなの。さっすが頼れるご主人様!」
調子の良い……
「それよりご主人様……なんか変な人達が……」
……いるな。四人……一人は女か。派手な服装……変なレンジャーってのはコイツらか?
「前に見たゴーゴー団とは違うね」
ああ……どうやら、俺達を待っていたようだな。
「ポケモン・ア・ゴーゴー!!」
突然、声を揃え四人が叫んだ。
「急いでいたって、立ち止まれ!」
ベースを弾きながら、一人が叫ぶ。
「耳を揃えて、これを聞け!」
突いて女がバイオリンを弾き出した。
「怒りのリズム、土深く!」
ドラムを取り出したたき出す奴もいて、
「野望のメロディ、天高く!」
残りの一人がギターを弾き出した。
「知らなきゃ話して聞かせてやろう! ヤライ! ユウキ! ヨウジ! ミライ! ゴーゴー団の一押しバンドはいいとこ取りのセレブリティ! 誰が呼んだかその名前……我ら、ゴーゴー4兄弟!!」
どこからか紙吹雪を巻き散らかせ、演奏を決める四人。
やかましい連中だ……なるほど、コイツらがゴーゴー団のトップ連中ってことかい。
「チューニング甘かったか? まあ良しとしよう……ところで、お前はレンジャーユニオンの新入りレンジャーだな?」
ギターを持った男が問いだしたが、俺の答えを待たずに、芝居がかった感じでベースの男が話し出した。
「レンジャーさん聞いてください。私達はこのところ伝説のポケモンに興味があるんですけれど、どんなに優れたレンジャーでも、伝説のポケモンとなるとキャプチャは難しいものです」
「世の中、金さえあればほとんどのことは出来るけど、伝説のポケモンだけはどうにもなりゃしねえ!」
「でもね、ふふふ……その不可能を可能にする究極のスタイラーがもうすぐ完成しそうなの!」
ドラムの男、バイオリンの女と続けざまに予定調和のセリフを言い放つ
ずいぶんと余裕だな……究極のスタイラーだと? つまりそれは盗んだスーパー・スタイラーの事だろう?
「……ハイ! とっておきの情報は残念だけどここまで! バイバイ、またねー!」
にゃろ、言いたいことだけ言って逃げるか。
元々距離があったし、奥地へ逃げられると追いつくのは難しいが……追うしかないだろ!
直ぐさま駆けだした俺だったが……突然、ケムッソが三人、俺の前に立ち塞がった。
すぐ後ろには、見覚えのある服装のおかっぱ野郎……ゴーゴー団か。
「はい、ストップでーす。ゴーゴー4兄弟のミニライブは楽しんでいただけました? でもここから先は楽しいこと、何にもないでーす。行くだけ無駄だから、最初からこうして通せんぼしてあげてるんでーす」
なら力尽くで道を空けて貰うぞ……
俺がキャプチャスタイラーを構えたところで、リーダー格っぽいギターの男が余裕ありげに振り向いた。
「もう少しだけ教えてやろう。ゴーゴー団は間もなくお前らレンジャーの歴史を終わらせるかもしれないぞ? 伝説のポケモンをキャプチャすれば、嵐を呼ぶことだって、雷を落とすことだって、炎で焼き尽くすことだって、我々の思いのままだ。その時、レンジャーユニオンは何にも出来ずにただオロオロするばかり。人々の信用はガタ落ちというわけだな。はっはっはっ!」
それが出来ると? させるかよそんなこと……
「……なんだ、その顔は? 文句があるってんなら、こっちだって黙っちゃいないぜ? 出来たばかりのスタイラーでとっ捕まえたケムッソ……飛びかかれー!」
下っ端が俺に向けケムッソを襲わせてきた。
スタイラーで捕まえた……と言ったか。
なるほど、ニョロトノをキャプチャしたレンジャーってのは、やはりこいつらゴーゴー団か。
どうする? ここはマイナンでポケモンバトルに持ち込むか?
いやそれは……三対一では不利だ。
ここは……キャプチャ仕返してみるか?
幸い、ケムッソは通行の邪魔にはなってもキャプチャする分には楽な相手だ。
三人がかりとは言え、キャプチャするのは苦ではない。
アッサリとキャプチャできたが……
「ケムッソ、逃げやがった……スタイラーも壊れやがった……まだまだだな俺……」
そう、ケムッソは逃げた。
あちらのコントロール下から逃れたようだが、こちらのコントロール下に落ちることなく
そのままリリースされたように行ってしまった。
これは……キャプチャの効果が相殺した、という事なのだろうか?
理由は判らないが、ゴーゴー団がキャプチャしたポケモンの対処法が見つかったな。
逃げる下っ端をとっ捕まえたいところだが、ニョロトノが心配だ。
逃げた幹部らしき奴らも気になるし……下っ端をほっとき、先を急いだ。
追いかける途中、川の向こうでニョロトノを連れている下っ端を目撃。
カビゴンが寝ていて道をふさいでいる場所もあったが、下っ端が逃げた方ではないので無視。
……カビゴンが寝ていて道をふさがれるってのは、カントーだけの話じゃないんだな……
っと、そんな事はどうでもいい。下っ端はあっちか……っと!
「きゃっ! なに、今度はアーボ!?」
二人のアーボが道をふさいでいる。後ろにはゴーゴー団の下っ端……似ているが、ニョロトノを連れていた奴とは別人か?
「オレ達ゴーゴー団こそが、真のレンジャーに相応しい! この新型スタイラーでキャプチャしたポケモンなら、オレの言うこと何でも聞くぜ!」
けっ、新型とやらに頼ってるザコが何をほざくか。
……そら、キャプチャし返してやったぞ。
「オレに勝ったくらいで喜んでるんじゃないぞ! こんなオレなんか、オレでさえ楽に勝てるぞ!……あれ?」
自分で言っていて情け無くないか? というか自覚はあったんだな……
あんなザコは放っておこう。
捕獲して情報を聞き出したいが、俺一人でそんなことをしていたらニョロトノを連れて行かれる。
ミッションはあくまで、ニョロトノの奪還だ。
「ミッションがって言うより、可哀想なポケモンを黙って見ていられないだけだよねご主人様は」
今日のお前はどうしてそう余計なことばかり言うかな……
「いいじゃん。私達はそんな優しいご主人様が大好きなんだから」
そーいうのが嫌いなのも知ってて言ってるだろお前は
「ちょっとね」
ったく……お、あそこに見えるのは……ニョロトノだな。
川の向こうにいる……が、連れていたはずの下っ端は川のこちら側。どーいう事だ?
「むっきー! ニョロトノー! コッチに戻ってこーい! 新しいご主人様のいう事を聞けっつーの!」
ニョロトノは下っ端を無視して先に行ってしまった……上手くコントロール出来ていないのか?
「うわっ! かっこ悪いとこ見られた! 俺の腕が悪いんじゃないからな! 新型スタイラーの調子が悪くって、それでニョロトノがいう事を聞かなくなったんだよ! 文句あんのかよー!?」
あぁ? ニョロトノを勝手にキャプチャした段階で文句は山のようにあるぞコノヤロウ……
「ご主人様! そんな奴に構ってないで……ニョロトノ行っちゃう!」
くっ……マイナンの言う通りか。
さてどうやって川を渡るか……
「この枯れ木はどうかなご主人様」
ん、使えそうだな。こいつを倒して橋にするか。
だがこれを押し倒せるほどのパワーを持ったポケモンが近くにいるか……
「あそこ、崖の上にヘラクロスがいるよ」
ヘラクロスか……彼のパワーなら申し分なさそうだな。
よし、キャプチャさせて貰って力を借りよう。
突進力に定評のあるヘラクロスをキャプチャするのには骨が折れたが、
キャプチャして、彼の力を借り枯れ木を押し倒して貰った。
「ありがとよレンジャー。お先に失礼ご苦労さんっと!」
「あっ、あいつ!」
にゃろ、あの下っ端俺達が橋を架けるのを待ってやがったな。
急いで追いかけるぞ。
「うん!」
ニョロトノが逃げた奥へとどんどん進むが……下っ端の足が速い。これでは追いつけないな……
「わっ、マンキーだ! わわっ、オコリザルまで! いたたたた! 誰か助けてくれー!」
なんだ今のは?
「さっきの下っ端じゃない?」
らしいな……これは好機か? とにかく行ってみよう
行き着いた先は、行き止まり。
そしてそこには叫び声の通りマンキーとオコリザルが。
ここは彼らの住処のようだな。
マンキー達に追われ、こちらへ逃げ戻ってくる下っ端……と、ニョロトノ。
とりあえずニョロトノは無事だったようだが……
「おっとレンジャー! いいところにいてくれた!」
こちらの制止を振り切り、下っ端が素早く俺の影へと隠れるように位置を入れ替える。
怒ったマンキー達が、そのまま俺達目掛けて迫ってきた。
「はい、バトンタッチ。後は君に任せた! こいつらが大人しくなるまで思う存分腕をふるっておくれ。お先に失礼ご苦労さんっと!」
この、ザコの癖にコイツ……
「ご主人様!」
っと、構ってる暇はねーってか。マンキー達を沈めてやらないと……
格闘タイプの彼らをキャプチャするのは、一人だけでも大変なのに三人となると厄介だな。
まずは足止めが必要か。
ヘラクロスをキャプチャする際一緒にキャプチャしておいたルンパッパの力を借りつつ
どうにか三人を落ち着かせることに成功。
このままリリースしても良いが……悪いが、しばらく力を貸してくれオコリザル。
「かまわねぇぜ、旦那。あのおかっぱをギャフンと言わせるためなら力貸すぜ」
頼もしいな。ところで、あのおかっぱが逃げていった先には何があるんだい?
「遺跡……だったか? よくわからねぇ石の彫像が飾ってある遺跡だ」
もしかして、そこって行き止まり?
「ああ。このジャングルはかなり木が入り組んでいるから、人間が通れるような所はこっちにもあっちにももう無いぜ」
そうか……どうにか追い詰められそうだな。
そう思っていたが、ウザイ奴ってのはどこまでもウザイわけで……
「見てご主人様! あいつあんな所に鉄格子立ててる!」
またあんな……あれを切り裂けるようなポケモンはいないか?
「だったらジュプトルがいいぞ。あいつならほら、そこに」
オコリザルが指し示すところに、確かにジュプトルがいる。
だがジュプトルは崖の上。その崖に、今度は蔦が見当たらない
「いや、蔦ならある……ほら見えるか? まだ成長途中の蔦があるだろ。あれは特殊な蔦でね、ちょいと水を掛けてやるとニョキニョキと伸びるんだ」
へぇ……詳しいな。流石はこのジャングルのボスザルってところかい?
「よせよ、照れるじゃねえかレンジャー」
なに、ここが平和なのも君のようなポケモンがいるからこそだろう。
さて折角の助言を無駄にしないように……水か。水辺にはハスボーがいたな。
ならまずハスボーをキャプチャして力を借り、蔦を生長させる。
そしてその蔦を登ってジュプトルをキャプチャし、鉄格子を切り裂いて貰う。
手間は掛かるが、おかげで先に進める。
急いで先へ進むと……今度はアゲハントとパラスが道をふさいでいた。
「残念だけど、お前が探している下っ端なら、この崖を登っていったよ」
そうかい……それはいいから、お前はとっとと道を空けろ。
「お前は俺達ゴーゴー団のジャマをする気だろ? だったら俺は、そのジャマのジャマをしてやるまでだ!」
つまらねぇこと言いやがって……とっとと片付けるか。マンキー、力を貸してくれ。
「任せな!」
格闘タイプのポケアシストは、キャプチャする際囲む回数を減らしてくれる効果がある。
ようするに、パワーでねじ伏せるってことだ。
厄介なアゲハントの痺れ粉をまき散らされる前に、短期決戦。これが上手く行った。
「おーい! 崖の上の下っ端ー! 厄介なレンジャーがそっち行くかもしれないから気をつけろよー!」
慌てて逃げる下っ端……追いかけている暇は無い。先を急ごう。
「じゃあレンジャー、オレっちは戻るけど頑張れな!」
ああ、ありがとうマンキー。さあて、この崖を登れば……追い詰められるかな。
下っ端の仲間と思われたのか、蔦を登っている最中グライガーがこちらへ突っ込んできたりもしたが
どうにかかわしながら登り……いた、下っ端だ。ニョロトノと一緒に遺跡の中へ逃げ込んだか。
そのまま俺達も遺跡へ……さあ、観念するんだなゴーゴー団。
「お前の粘り強さには頭が下がるよ。このニョロトノを取り返しに来たんだろ? でもこいつはもう俺の味方なんだよね。ということは? つまり? お前の敵だってことさッ!」
ニョロトノをけしかける下っ端。
まあ元々ゴーゴー団のキャプチャから解放させる為にこっちでもキャプチャするつもりだったから問題ない。
オコリザル、こいつをギャフンと言わせてやろうぜ。
「おう、任せろ!」
先ほどと同じく力でねじ伏せるようにキャプチャ。
ニョロトノは元来大人しいポケモンだが、吐き出す水の威力は凄まじい。
やはりここも、隙を狙った短期決戦が望ましいところで……オコリザルのおかげで、無事キャプチャ。
ニョロトノはそのまま……行ってしまった。ポンプの所へ戻ったのか?
「え? どうして? 折角新型スタイラーでキャプチャしたニョロトノなのに。なんでレンジャーにキャプチャされたらどっかに行っちゃうわけ? 絶対変だよ。不公平じゃないか! 俺だって、俺だって……むっきーっ! 覚えてろっ!」
っと、お前は逃がさん。ニョロトノが無事ならお前らを見逃す理由はもう無いからな。
今度は口らが立ち塞がり、ザコの退路を断とうとしたが……ぐっ!
「ご主人様!」
なんだ、石か?肩に何かぶつけられた……くそっ、その隙にザコを逃してしまうとは……
「悪いな。あんな下っ端でもお前達に掴まっては困るんだ」
てめぇ……さっきのギター野郎か。
「うむ……どうやらこの新型スタイラーで捕まえたポケモンは……レンジャーにキャプチャされると元いた場所へ帰ってしまうみたいだな。それが判っただけでまあ良しとしよう。しかし何故そんなことになってしまうんだろう? レンジャーの気持ちとやらがポケモンに伝わったとでも? はっはっはっ! そんな馬鹿げたことがあってたまるか! はっはっはっ! くだらない!」
はっ、笑っていられるのは今のうちだ。
新型だぁ? 大方、盗んだスーパー・スタイラーをベースにしただけの模造品だろ?
構造を正確に把握出来ていないで模造品をこしらえても、これ以上の成果は望めねぇぞ
「どうかな……まあいい。今日のところは負けを認めようレンジャー。だが、次はない……」
待てこの……っつぅ……
「ご主人様……」
大丈夫だマイナン……ともかくニョロトノを無事解放出来ただけ良かったとしよう。
「なんだかよくわからねえが……頑張れなレンジャー。俺ぁ、ああいう男は好きになれねえし、旦那やカムリみたいなのがレンジャーやってくれてる方が安心できらぁ」
カムリを知って……って当然か。ここのエリアリーダーだもんな。
「あいつも旦那とは違う意味でいい男だぜ。このジャングルも、俺達ポケモンのことを大事にしてくれる。いいリーダーやってるぜ」
そうか……色々ありがとなオコリザル。
「気にすんな。こっちもいきなり襲って悪かったな。じゃあ達者でな!」
……そうか、カムリはいいリーダーか。
まあエリアを任せられているくらいだろうから……今日会ったばかりの俺が知らないことを色々していて当たり前か
「ただのんびりしているだけじゃない……んだね」
たぶんな……さて帰ろうかマイナン。
「うん!」
遺跡を出て、戻ろうとする俺達……の前に、ポンプがニョロトノを連れて現れた。
「タカマル! 大丈夫かい!?」
いや、それはこっちのセリフ……ジャングル苦手じゃなかったのか?
「うん、そうなんだけど……ニョロトノが心配で心配で……なんとかここまで来てみたら、ほら、見てくれ! ぼくのニョロトノ!」
無事に戻れたようだな。良かった。
「ケロッとした顔していきなり目の前に現れてさ。ぼ、ぼくの胸に……ぐすっ……ぼくの胸に、ピョンって、飛び込んできてくれたんだ! 思わず涙が……ぐすんっ……涙が溢れて来ちゃってさ。ぐすすっ……ありがとう……本当にありがとう……」
まあ、これもミッションだからな……
「ぼくのニョロトノ、もう放さないぞ!」
「ニョロ、ポンプはちょっとオーバーだなぁ……こっちこそ、キャプチャされちゃってゴメン。もうあんな奴らにキャプチャされないから」
「ニョロトノぉぉ!」
やれやれ……まあキャプチャしてポケモンを「元いた場所」へ帰すのがレンジャーの務めだし
こっちは任務を全うしただけ……だからな
「またまたそうやってごっ……」
いいからチャチャいれるなマイナン
「ゲンコツは痛いですご主人様……」
「よしっ! もう涙は乾いた! 笑顔笑顔でレンジャーベースに帰りましょう!」
ん、そうしよう……にしても、ゴーゴー団め……ようやく目的が明確になってきたが、
とんでもないことをやらかすつもりらしいな。
新型スタイラーと称したあんなものが、下っ端数人に渡されているとなると……やっかいだな。
既に量産体制に入ったとみて良いのだろうか?
なんにしても……まずいな。
ベースに戻ったら早速教授達に報告しなければ。
……と、それはそれとして、マイナン。
「なぁに?」
……覚えてろ、と言ったよな? 俺
「えーっと……忘れました」
俺が覚えてる……覚悟は出来ているよな?
「あはははは……もうご主人様ったらぁ……逃げて良いですか?」
キャプチャするぞ
「ですよね……うう、お手柔らかにお願いします」
任せろ。リゾート地には似つかわしくない悲鳴を上げさせてやる
「ひいぃぃぃ……」
どこかコテージの一つでも空き部屋あれば良いんだがな……楽しみだなぁマイナン
「うう、ご主人様の鬼畜……」
そこがいいんだって言わなかったか?
「言いました……ぐすん、私どんどん変態にされちゃうよぉ」
既にそうだろう。俺の奴隷なんだから。
それも奴隷達を代表する、今は俺のパートナーだろ?
鬼畜のパートナーらしく、愉しませてくれよ?
「はう……」
……ま、ここまでやってくれた「お礼」も込めて、可愛がってやるからな、マイナン。

PR:ミッション3・ベトベター大量発生

ゴーゴー団の足取りを追うため、フォルシティのレンジャーがほぼ全員出払ってしまった。
その為、新人だからという理由でゴーゴー団を追うことさえ許されない俺に、
街のパトロールミッションが与えられた。
悔しいが、これも大事な任務だと割り切ってパトロール。
いくつかの問題を解決していく俺達。
ほとんどはちょっとした頼まれ事レベルの、さして難しくない事件だったが
街中でゴーリキーが暴れていたあの事件は……どうにも引っかかる。
その事をエリアリーダーであるジョウに報告を兼ね相談しようとしていた矢先だった。
今度は水道水を通している地下水道にベトベターが大量に発生したとの被害報告が。
既に飲み水へ臭いが付着し始めているだけに、緊急事態。
俺達は直ぐさま地下水道へと向かった……
「ここが地下水道の入り口になってるんだ。いつもはこんな臭いしないんだけどな。うぷっ……」
地下水道の整備員が案内してくれた入り口からは、確かに嫌な臭いが漂ってくる。
これは酷いな……かなりキツイ臭いだ。
「けほっ、本当に臭いね……」
うむ……こりゃ確かに、大量発生しているっぽいな。
ベトベターはその特性によって悪臭を放っているポケモンだが
しかし一人だけではここまで臭うことはないはずだ。
「うちのベトベトンだって、ここまで臭くないもんね」
ああ……まあ彼女は悪臭を消す努力をしてきた結果ではあるがな。
ベトベターやその進化系であるベトベトンは、悪臭を放つポケモンとして嫌われているが
しかし一方で、一部のトレーナーには毒ポケモンとして大事に育てられている者もいる。
俺もそんなトレーナーの一人。うちの奴隷にはベトベトンがいる。
確かに彼女達は臭いんだが、人になれるとその臭みが和らぎ
また食事療法なんかでその臭みを消すことも出来る。
つまり、トレーナーが所持しているベトベターやベトベトンは
自ら臭いを放とうとしない限りそこまで臭くはないんだが
逆に、野生のベトベターなどはこのように……その臭さを抑えることなくまき散らしている。
とはいえ一人のベトベターから臭う「量」だって限度がある。
まだ入り口を降りてもいないこんなところにまで漂わせる臭いは……一人や二人じゃないって証。
こりゃかなり厄介なミッションだな……キャプチャだけでなく、まずこの臭いとも戦わないとダメなのか。
「……やめない? このミッション」
んなこと出来るか。俺達しかいないってジョウも言ってただろ。
「えー、でもさぁ、なんか臭いし地味だし、良いとこ無しじゃない?」
良いとか悪いとかでやるやらないを決めてどうする。
目立つためにやるんじゃないんだよ、レンジャーの仕事は。
まあ……気持ちは判るけどな。正直、俺はレンジャーになりたくてなった訳じゃないから
なんていうか、責任感ってのはそう感じてない。
だけど任された以上はやるしかないだろ……
「それを責任感って言うんじゃないの?」
うっさいなぁマイナン……ほれ、無駄口叩いてないで行くぞ
「はーい。うっぷ、でもやっぱりやだなぁこの臭い」
俺だってイヤだよ……っと、メールだ。
……ハヤテか。なんだろう。
ええっと……「ハヤテからタカマルへ。話はジョウから聞いている。
初めての街で不安だろうが君なら大丈夫だ。
私もジョウも今はゴーゴー団の動きから目が離せない状態だ。
しかし今の君にとって大事なのはゴーゴー団を調べることではなく、
ミッションを沢山こなして出来るだけ経験を積むことだ。
ベトベターの方を是非頑張って欲しい! 私からもよろしく頼む」……か。
「ハヤテって、結構マメな人だね」
俺もそう思う……まあ、こんな人だからリーダーとして慕われるんだろう。
「逃げ出さないためにプレッシャーかけてるだけだったりして」
本人にそんな意図はないだろうけど……ま、これで逃げられなくなったのは確かだな。
さて中にたどり着いたが……更に臭いが酷くなってきたな。
ん? あそこにいるのはレンジャーか。
回収専門のレンジャーがいるとか言ってたなそういえば……彼がそうかな?
ご苦労様です。ベトベターキャプチャミッションのため派遣されたタカマルです。
「……!……プハー! あまりにも臭いから息を止めてたよ。君がタカマルだね? 僕は君がキャプチャしたベトベターを回収するために派遣されたレンジャーだ。よろしくたの……うぷっ、臭い」
だいぶ参ってる様子だな……まあ今来た俺達よりも長くここで待っていたんだろうからなぁ
「この奥は更に臭うから、僕はここで待機していて、もし君がキャプチャしたらその度に回収に向かうことにするよ、悪いけど。……うぷっ、ダメだ! 息を止めよう」
そうして下さい。待機しているだけでも辛いでしょうけど。
「……プハッ、ハーハー。息止めるのって苦しいもんなんだね。ベトベターなら通路に不自然に緑色のヘドロがあるだろ? あれが怪しいと思うんだ。……うぷっ、臭い! また息を止めよう」
了解。では向かいます……緑色のヘドロか。
「そんなヘドロ、うちのベトベトン出してたことあったっけ?」
無いな……あいつを捕まえたのは確かポケモン屋敷と呼ばれるようになった古い研究施設だった。
あの屋敷にそんなヘドロはなかったはず……
アイツを捕まえてからそんなヘドロを出すような所を見たこともない。
だが野生は別というか、住まう場所によって違ったりするのかな……
多くのポケモンを奴隷にしてきたが、ポケモンの性質とか本質とか、判ってない部分は多いなぁ
だからこそ、ずっと研究が続いているんだろうけど……っと、緑のヘドロってアレか?
「ご主人様、上!」
うえ……ぇえ! っと、ベトベターが降ってきた!
あっぶね、そのままベトベターに押しつぶされるところだったぞ
くっ……この臭い。やはり原因はコイツらか……とっととキャプチャしてしまわないと。
マイナン、ポケアシスト頼む。
「はぁ……うっぷ、臭いきっつぅ……このぉ!」
放電してベトベターを痺れさせるマイナン。よし、今のうちにキャプチャ!
……ふぅ、手早くキャプチャ出来たな。
よし早速……って、回収役のレンジャー、来るの早いな。
「ご苦労様です……ベトベターを捕まえるとヘドロが消えるんだね」
ん? ああ……本当だ。大人しくなったらヘドロが消えた……か。
つまり、攻撃的になっていたからヘドロを発生させていて、
そのヘドロは一時的なものだから、大人しくなったら消えた……って理屈なのかな?
「どうだろう、教授じゃないからよく判らないけど……じゃ、ベトベターは預かるからその調子でがんばっ……うぷっ、なんて臭いだ! 息を止めよう」
キャプチャしてもベトベター自体の臭いはそのままだからなぁ。
なんか俺よりも臭いに敏感っぽいな、あの人……大丈夫かな。
「大丈夫じゃなさそうだね……」
うむ……彼のためにも、とっととこの事件を解決してしまおう。

地下水道にはこの騒動で駆けつけた、あるいは最初からここで勤務中だった整備員達があちこちにいた。
彼らからは、飲み水を扱っている水道だから清潔を心がけていたこと、
故にこれまでベトベターが住み着くことはなかったハズなんだが……という疑問の声を聞いた。
ベトベター以外の、ヘイガニやワニノコといった水タイプのポケモンが住み着いているのを見る限り
彼らが言うように一定以上の水質基準は保っていたようだ。
ただ、ちょっと気になったのは水道の更に下の層だ。
水を浄化して出来たヘドロが溜まっている部屋があった。
このヘドロはベトベターから出て来た物ではないようだが、
ドガースが住み着くくらい空気が汚染されている。
原因があるとすれば、ここか?
「でもここにベトベターはいないね」
そうなんだよな……ここに来るまでにもベトベターをキャプチャしてきたが
この部屋にはドガースしかいないな。
そもそも、ここにはヘドロという汚染物質があるから、整備員が常に管理して水へ影響が出ないようにしている。
つまりここがベトベターの発生源なら、真っ先に整備員が目撃するはずだ。
こんな急に大量発生とか……普通に考えたらあり得ない。
そうなんだよ、急に大量発生……どこからか大勢で入り込んできたとしか思えない。
だがどこから? 何故ここへ?
……今ソレを考えている場合じゃないな。とにかく片っ端からベトベターをキャプチャしていかないと。
……よし、またベトベターをキャプチャ完了っと。
「キャプチャお疲れ様。それにしてもこの臭い、君はよく平気だな。君ってもしかしてこの臭いが好きなのかい? うぷっ! 僕はかなり苦手……でもちゃんと預かるよ。息は止めるけど……」
いや俺も正直吐きたいくらいなんだが……鼻が麻痺してきたのか、慣れてきちゃたな。
本当に吐き出す前に片付けないと……ん? あの後ろ姿は……
「うわぁ、なんか嫌な人に会っちゃったかも……」
マイナン、言ってやるな……
「タカマル! 何故こんな所に!?」
よおアリア……そのセリフ、そのままソックリ返してやるよ。
こっちはベトベターが大量発生したってんで、キャプチャして回収しているところだ。
「へえ……ふふ、新人さんにはお似合いの仕事ですこと」
……言うことがいちいち嫌味ったらしいなぁ
で、大先輩はなにしてるんで?「私のミッションはゴーゴー団の調査よ。地下水道に団員が一人潜んでいるらしい、という目撃情報が入ったの」
ゴーゴー団が?
「どうでもいいけどここ臭い……じゃ、私のミッションは一刻を争うから先に行くわね」
ちょ、その話……って、行っちまったか。
「ゴーゴー団が来てるの?」
そういうことになるのか……ゴーゴー団か……なんでこんな所に?
……ベトベターが大量に発生し、そこにゴーゴー団の影……偶然にしちゃ出来すぎてるよな?
「うん……でもさ、ベトベター達がゴーゴー団の仕業だとして、何がしたいの? どうやって連れてきたの?」
……見当つかないな。ただの嫌がらせか、もっと別の目的があるのか……
そもそも、どうやって連れてきたのか……推測するにもその材料が無い。
まあ調査は優雅なアリアお嬢様に任せて、こっちはヘドロにまみれるとするか。
「アイツもドロッドロに汚れちゃえばいいのに」
……どうせならヘドロじゃなくて俺様の……
止めよう。なんかこの臭いでエロい妄想すら沸き起こらないくらい萎えてくる。
とにかく先へ行こう。エロい事はベトベターを全て捕まえてからだ。
「うん……それまで気力が持てばいいけどね」
持たせるしかないだろ……持たせるためにもとっとと片付けよう。

人が管理するには複雑な水道を、どうにかキャプチャしながら進んでいく俺達。
途中、水路を挟んだ向こう岸に……アリアがいた。
「あらタカマル? こっちに渡りたいわけ?」
彼女が言う通り、出来れば渡りたい。またアリアのいる方の調査は終えてないからな。
しかし見渡す限り、渡るための橋などはない。どうやって向こうへ?
「普通に教えてもつまらないからヒントを二つあげるわ。一度しか言わないからちゃんと聞くのよ。ここに立っている杭と……どこかにいるモンジャラ。後は自分で考えてみなさいね。じゃあ私、先を急ぐから!」
……それ、ヒントじゃなくて答えなんじゃないか?
「ねえ……あれってツンデレって言うのかな?」
どうかな……もう行っちまったし、顔もよく見えなかったからなぁ
まあいい、先輩のアドバイスは素直に受けようじゃないか。
さてと、モンジャラを探してキャプチャしないとな……
ヒントという答えを元に、俺達はモンジャラの力を借りて向こう岸へ。
その先にいたベトベターをキャプチャして……お、だいぶ空気が良くなってないか?
「そうかも……最後のベトベターだったのかな?」
かもな……おっと、回収役の彼も来てくれたか。
「お疲れ様! これでたぶんベトベターは全てキャプチャ出来たと思う。君はレンジャーベースに戻ってジョウさんに報告……ん? 何か変だぞ?」
鼻をひくひくさせ、回収役が怪訝な表情になる……あっ、俺にも……臭い臭いが漂ってきた。
「更に強烈な臭いがあっちの方から漂ってくる。んむむ! 鼻がどうにかなっちゃいそう!」
まだいるっぽいな……とりあえず俺達は行くから、このベトベター達を頼む。
「了解。がんばっ……うぷっ、息止めなきゃ」
この方向は……入り口近くか。あんな所にまだいたか?
まあ臭いがしている以上いるんだろうけど……
「うわー! ベ、ベ、ベトベ……」
「悲鳴? あっちから聞こえてくる!」
ああ……臭いのする方と同じだな。急ぐぞマイナン。
「うん!」
急ぎ入り口近くまで戻ってみると……こいつは……
「ベトベトンだ!」
ベトベターの親玉登場か。子分を二人連れている。
悲鳴も聞こえていたはずだが……どうやら入り口へ逃げたかな。
まあいい、ともかくコイツをキャプチャだ!
俺は途中でキャプチャしておいたスリープの力を借り、ポケアシストでベトベトン達を浮かせて貰う。
足止め状態になっているベトベトン達を一気にスタイラーで囲み……キャプチャ!
ふぅ、流石にベトベトンはベトベター達よりも大変だったが、まあどうにかなったな。
お、良いところに回収役も到着か。
「こいつの臭いはベトベターの10倍酷い! なんていうか、もう凄すぎて、逆に何の臭いも感じ無くなっちゃったよ! もう深呼吸しちゃえ! スーハー! スーハー! じゃ、預かっていくよ! お疲れ様でーす!」
……開き直ったか……妙にハイテンションになっちゃってまあ……その気持ちも判るけどさ……
「もう鼻が完全に麻痺しちゃったよぉ」
俺もだ……ったく、酷いミッションだったよ。
「……あ、酷いのが又来た」
酷いって……なんかやたらに突っかかるなマイナン。
よおアリア先輩。
「地下水道の騒ぎも落ち着いたみたいね」
まあね……そっちは?
「散々よ。ゴーゴー団は見つからないし、服に臭いは付いちゃうし、こんな場所に長居は無用。お先に失礼するわね。あなたもだらだらしてないで、早くレンジャーベースに帰りなさいね」
イライラしてるなぁ……ま、結局見つけられなかったってなれば、イライラもするか。
さぁて、言われた通りレンジャーベースに戻って報告だな
「早く戻ってお風呂入りたい。この臭い、取れるかなぁ……」
取れないと困るぞ、こんな臭い。

「うっ……ベトベターの臭い……」
苦労してきた部下に対する第一声がソレですか、エリアリーダーさんよぉ……
「いやいや何でもありません。フォルシティの暮らしに必要な飲み水を君が守ってくれたんです。ベテランでも手こずる難しいキャプチャをよくやり遂げましたね。今からタカマルのレンジャークラスを「4」に認定しましょう!!」
いやまあ、クラスアップは良いんだが……まあいいか、臭いのは確かだし。
この臭いをとっとと洗い流したいんで、風呂に行っても構わないだろ?
「もちろん構わないが……今シャワールームは男女どちらも使用中なんだ」
……あーそうか、あの回収役と、アリアか。
参ったな……シャワールームが空くまで待ってるってのは……うん、周囲連中が耐えられそうにないな。
「わしの研究所にあるシャワールームを使うと良い。助手には連絡を入れておこう」
助かるよ教授。それじゃ研究所に行こうかマイナン。
「うん。もうとにかく臭いをどうにかしたい!」
だな……とっとと身体を洗ってしまおう。

……ふぅ、どうにか臭わなくなったかな?
しかしベトベターまいったな……無事に回収出来たから良いけど
にしても……結局、どこから来たのか判らないままか……
「本人達から話を聞けないのかな?」
リリースする前に聞いているとは思うが……たぶんダメだろうな。
俺達がキャプチャした時も、なんかうつろな感じだったろ?
「そうだね。大人しくなったと言うよりも何か……心がどっかに行っちゃった感じ?」
臭いのひどさに、じっくり話を聞くってこと自体忘れてしまってたからなぁ
……ゴーリキーの時もそうだったが、そもそもキャプチャ前の彼らは冷静じゃなかったし
キャプチャした後もなんか、受け答えがまともに出来なかったし……
コッチにも問題あったとはいえ、あの様子ではなぁ……
……ゴーゴー団か。あいつらの仕業……なのだろうか?
そもそもあいつらは何が目的だ?
教授からスーパースタイラーを盗んで、何をするつもりだ?
……調査にも参加出来ない俺じゃ、判断材料が乏しすぎる……くそっ、どうにかなんねーのかこの状況……
「……ねえご主人様」
ん?
「まだ臭うよ……ここ、ちょっと臭い」
……そうか、臭うか。ならマイナン、そこを綺麗にしてくれないか?
「えへへ、いいよー……お口で、綺麗にしてあげるねぇ……チュ、クチュ……」
丁寧にな……ああ、もしかしたら白いヘドロが飛び出すかもしれないぞ?
「ん、チュ……出して、白いヘドロ。あの臭いなら、あれの味なら大好き……ん、チュ、チュパ、チュク……」
そうか、大好きか……お前も頑張ったからな。ご褒美だ。
「チュ、クチュ……えへへ、ご褒美ぃ……ん、チュ……」
マイナンは小さな唇と舌で丁寧に俺のモノを綺麗にしていく。
綺麗にしながら、もうしばらくしたらこいつの口は白く汚されることになる。
「ん、出してぇ、白いヘドロぉ、ん、クチュ……あれ、あの臭い、あの臭いなら、ずっと嗅いでたいのぉ、ん、チュ、チュパ……」
臭いを洗い流すシャワールームで、俺の奴隷は俺の臭いを求めフェラを続けていく……

Appendix

ブログの説明

S-BOW

Author:S-BOW

このブログは、管理人がポケモンをプレイしながら脳内でポケモンを擬人化し、更にエロ妄想を繰り広げた半プレイ日記です。
基本的に脳内妄想をあるがまま文章化しているため、読みづらい点が多々あることをご了承ください。
また始めて読まれる方は、下記カテゴリーの「はじめに」をクリックして注意事項を一読くださると幸いです。
またエロい妄想はしていますが、ストーリーをなぞった形になっているので、エロシーンは一部を除きかなり薄めであることもご了承ください。
※18禁ブログです。18歳未満の方は閲覧しないようお願いいたします

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